グループホームで認知症ケア!入居条件やメリットは?
認知症になってしまうと、家族だけではなく本人にとってもストレスや苦痛を感じる生活を強いられてしまいます。一度認知症になると改善するのは非常に難しいのですが、これ以上症状を悪化させたくないですよね。認知症ケアとして、グループホームの利用がおすすめされるのですが、グループホームとはいったいどのようなものなのでしょうか?ここでは、グループホームの基本情報や入居条件、そして入居のメリットなどについて、詳しくご紹介します。
グループホームとは?
グループホームの特徴
グループホームとは、小規模な介護施設の一つです。介護施設になじみがない方にとっては認知度が低いのですが、グループホームは認知症の人のための介護施設なのです。主な利用対象者は、要支援2以上に認定された認知症高齢者となっています。そのため、認知症対応型共同生活介護とも呼ばれています。一般的な家事のほかに、リハビリや入居者同士のレクリエーションを通した機能訓練により、認知症の改善や進行の緩和を試みていきます。
グループホームでは、少人数での共同生活が必要不可欠となります。余りにも人数が多すぎてしまうと、落ち着いて生活することができません。特に環境が変化しすぎると認知症患者はストレスがたまってしまいます。同じメンバーやスタッフと生活することで認知症ケアをすることができるのです。
なお、共同生活となりますので、日常生活に援助が必要である場合や、重度の認知症の場合は入居することができない場合もあります。
グループホームの入居条件
グループの入居条件としては、次の4つをクリアする必要があります。
- 65歳以上であり、要支援2もしくは要介護1以上の認定がある。
- 認知症として医師の診断を受けている。
- 入居希望のグループホームと同じ地域の住民票がある。
- 集団生活をすることに支障がない。
※施設によって条件は多少異なる場合があります。
現状、グループホームは高齢化社会に対応するために、施設数を増やしている傾向があります。ただ、基本的には小規模施設となるため、入居難易度は高いといえるでしょう。
ただし、共同生活を送るうえでの支障があるかないかはかなり重視されます。認知症の進行が著しいことによって、通常レベルの共同生活を送ることができない場合は、入居することが難しいかもしれません。
また、医療依存度が高い場合も、共同生活ができないと判断されてしまう恐れがあるでしょう。そういった意味で、入居難易度は入居者の認知症レベルに左右されるといってもよいでしょう。なお、入居期間については、グループホームの介護医療体制で変わってきます。24時間の看護体制が整っているグループホームであれば、症状が進行しても入居を継続することができるでしょう。
グループホームの介護・医療サービス
グループホームについては、看護体制は必要十分なものといえるでしょう。グループホームで常駐しているスタッフは、認知症についての正しい知識を持っています。そのため、初めてグループホームに入居した高齢者の不安についても熟知しているでしょう。精神的な不安を取り除いて、自立へのサポートをしてもらうことができます。
ただし、医療体制は十分ではありません。グループホームでは、看護師の配置が義務付けられていないからです。必ずしも看護師がいるとは限らないので、グループホームによっては、医療体制が頼りないケースもあるでしょう。
しかし、グループホームの中には、ほかの施設との差別化を行うために、看護師を雇用して配置しているケース、訪問看護ステーションと契約をして、必要な場合に来てもらうなどの医療体制に力を入れているグループホームも増えてきています。
検討しているグループホームの医療体制のレベルについては、検討時に問い合わせるようにしましょう。
グループホームの人員体制
グループホームは、認知症の利用者に対しての配慮として、少人数であることが特徴となっています。これは、利用者が少人数であるだけではなく、現場で働いているスタッフも少人数体勢となっているのです。主な体制としては、次の通りです。
看護職員:施設によって異なる
グループホームについては、医師が勤務することはまずありません。また、看護職員についても、グループホームの運営方針によって異なるでしょう。そのため、場合によっては介護職員しかいないということも珍しくありません。
なお、利用者当たりの常勤介護職員の人数は、施設によって異なりますので、検討の際に必ず確認しておくようにしましょう。
グループホームの利用費用
グループホームの費用は、入居するグループホームによって異なります。一般的な相場としては、入居時の一時金として最大数百万円、そして月額費用として15万円から20万円程度が必要となります。入居時の一時金は請求されることが多いですが、中には0円で済む場合もあるでしょう。月額費用の内訳としては、家賃や食費、介護サービス費などがあるでしょう。
それでも、一般的な特別介護老人ホームなどと比べると、比較的費用が安い施設が多い傾向があります。
利用までの待機期間
途中でご紹介したように、グループホームは小規模な施設であることが多いです。そのため、グループホームの数が多かったとしても、空きがないケースも想定されます。新しいグループホームが完成するか、空きが出るまで入居することができません。
そのため、待機期間が生じることが多いでしょう。数カ月程度で入居できることもありますし、場合によっては数年待たないといけないケースもあるので、グループホームの入居を検討する場合は、空き状況も含めて検討するようにしましょう。
グループホームを利用するメリット
認知症の進行を和らげる
認知症が発症した場合でも、すぐに何もわからなくなってしまうわけではありません。一般的には、徐々に認知症の症状が進行していき、最終的に全くわからなくなってしまうでしょう。グループホームに入居することで、認知症の症状に熟知したスタッフのサポートを受けながら、洗濯や料理などの日常的な家事を自分で行っていきます。
このように、サポートがあったとしても、自分自身でできる範囲で日常的な家事を行うことは、認知症の症状の進行を和らげる効果が期待できます。逆に、認知症の高齢者だからと、高齢者に何もやらさずに、何でもかんでも介護者がやってしまうと、逆に認知症の進行を進めてしまうリスクがあるでしょう。利用者現在使える能力を活用して、その能力を向上させることができることは、グループホーム最大のメリットです。
認知症ケア専門の介護職員に任せられる
グループホームは、認知症の高齢者が入居するための施設です。そのため、グループホームに在籍しているスタッフは、認知症に対しての十分な知識と経験を有しています。通常の老人ホームなどに入居した場合、認知症はもちろん、その他のさまざまな病気や症状を抱えた高齢者が混在しています。そのため、スタッフが十分な知識の元で認知症ケアをすることができるとは限りません。そうなってしまうと、認知症高齢者は大きなストレスを抱えてしまう恐れがあります。
また、グループホームでは、認知症に関する知識と経験のあるスタッフが、認知症の高齢者の対応にだけ集中することができるので、他の施設に比べるときめ細やかなケアをしてもらうことができるでしょう。
地域から離れずに済むのでストレスを最小限にできる
グループホームは、数ある老人介護施設の中でも、地域密着に特化している施設です。
入居のためには、そのグループホームがある地域の住民票であることが絶対条件となっています。そのため、今住んでいる地域のグループホームにしか入居することができないのです。もちろん、空きがないなどのリスクがあるかもしれませんが、認知症高齢者にとっては、今まで慣れ親しんだ街を離れることなく住み続けることができます。
住む場所の変化はあるものの、住むエリアが変わるわけではないので、環境変化に対する負担を小さくすることができるでしょう。環境が変わることによるストレスは意外に大きいのです。
また、同じ地域に住んでいた高齢者同士でコミュニティができますので、話題に尽きることはないというメリットがあります。
少人数制でコミュニケーションが取りやすい
グループホームは少人数のコミュニティが魅力となっています。多くの場合、5人から9人程度のユニットを形成して、その中で共同生活をしていきます。認知症の高齢者は、見知らぬ人がたくさんいるような状況や、頻繁に人が入れ替わるような状況は大きなストレスを受けてしまいます。
さらに、認知症の症状によって顔が覚えられない、名前を覚えられないなどの症状によって、なかなかコミュニティ内で打ち解けることができないケースも多いでしょう。グループホームでは、そのような精神的な負担を軽くするために、普段顔を合わせるのはユニット内の同居人とスタッフだけとなっています。また、スタッフも同じ人であることが多いので、認知症であっても顔見知りを作りやすい環境となっています。
グループホームを利用するデメリット
医療依存度が高まると退所しなければならない
グループホームは、認知症に関する介護ケア環境に特化していますが、医療ケアは充実していません。そもそもグループホームには、医師や看護師の配置が必須となっていないからです。そのため、認知症はもちろんのこと、その他の病気などの症状によって、医療依存度が高まってしまうと、適切な介護ができなくなってしまいます。
その場合は、グループホームを退去したうえで、医療ケアに特化している施設へ転居しなければならないでしょう。
通院やトラブルがあれば家族に負担がかかる
前述のように、グループホームでは医療ケアを行っていません。認知症の症状悪化や、その他の病気などによって身体状況が悪化してしまうと、家族が高齢者の通院をサポートしなければなりません。
一般的に病院に行くのは平日となります。仕事をしている場合は、そのたびに仕事を抜けなくてはならず、家族の負担も大きくなってしまうでしょう。充実した医療ケアが必要になった場合は、グループホームを出ることも検討しなければならないでしょう。
地域密着のため空きができにくい
平成29年に厚生労働省が調査を行った、「介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、全国にあるグループホームの数は、前年度に比べて277施設多い13,346施設という結果となりました。このようにグループホームの数自体は、非常に多いです。ですが、小規模施設に該当することから、1ユニット当たりの入居人数はわずか9人。入居待ちになっていることも多いので、入居したくてもできないことが多いです。待機となると、その間は家族で介護しなければならないでしょう。
スタッフや入居者との相性が悪いと転居が必要
グループホームは、少人数であることがメリットでありますが、時としてデメリットとなることもあります。それは、利用者やスタッフ同士の相性の問題です。少人数だからこそ、相性が悪いとその施設内での居場所を失ってしまう恐れがあります。さらに、それによってストレスを感じてしまうので、利用者にとって症状が悪化してしまうなどのリスクがあるでしょう。1つの施設内でのユニット数は多くても2つ程度なので、最悪の場合は、転居が必要となります。
グループホームに入居するまでの流れ
グループホームの選び方を知る
グループホームを選ぶ場合に、重視するポイントについてご紹介します。
費用
長期的な入居になることの方が多いので、予算を立てたうえで実現可能な施設を選びましょう。
介護体制
入居に対して、十分なスタッフが存在しているのかを確認しましょう。認知症の高齢者の対応をするためには、スタッフに余裕があるくらいの施設がおすすめです。
医療体制
グループホームによっては、医師が駐在している、看護士との連携がとれるグループホームもあります。医療体制が必要になる場合は、必ず確認しておきましょう。
入居者やスタッフの雰囲気
実際に現地を見学して、入居者やスタッフの雰囲気が和やかかどうかを確認しましょう。また、相性を見るためにも、入居予定者本人も一緒に行くことをおすすめします。
ここでご紹介した内容の中でも、特に入居者やスタッフとの相性確認は重要です。最悪の場合、転居につながる恐れがあるので、しっかりと確認しておくようにしましょう。
資料請求を活用する
グループホームは非常に数が多いです。入居先を選定するための、費用や介護体制、そして医療体制については、資料請求をすることで、複数の施設をまとめて比較することができます。わざわざ、すべての施設に足を運ぶのは、手間と負担がかかってしまうことでしょう。ネットでの資料請求はもちろんのこと、電話などでも対応してもらえることが多いので、数あるグループホームから候補を絞る際には、資料請求を活用することをおすすめします。
必ず見学や体験入居を!
グループホームでは、何よりも入居者やスタッフとの相性が重要となります。せっかく入居したのに、相性によって転居する羽目になってしまってはもったいないからです。そのため、見学だけではなく、体験入居をさせてくれるグループホームも少なくありません。実際に、グループホームで過ごしてみることで、入居予定者自身がこのメンバーでやっていくことができるのかを判断することができます。また、家族も館内の様子などを確認することができるでしょう。
入居申し込み・契約
グループホームへの入居の意思が固まったら、実際に施設に申し込みをしましょう。申し込みをすると入居のために必要な資料をもらうことができるでしょう。こちらから準備する内容としては、地域に住んでいることを証明するための住民票や、認知症であることを証明するための医師の診断書の提出が必要となります。これらの資料は早めに準備してもいいのかもしれませんが、有効期限などがありますので、待機となってしまうことがありますので注意しましょう。
認知症の高齢者を家族で介護するのは大変
認知症のよくある症状
認知症の症状としては、次のような症状が考えられます。
- 物忘れ
- 理解力の低下
- 判断速度の低下
- 集中力や作業能力の低下
- 精神的混乱や落ち込み
初期症状としては、同じ話を何度も繰り返したり、約束をすっぽかしたりするような物忘れが多いです。また、同じものを何度も買ってくるケースや、料理の味付けが突然変わったりするケースもあるでしょう。
そのほかの事例としては、いつも通りの会話のスピードについていけなくなる、赤信号になりそうなのにそのまま行こうとしてしまう際にも注意が必要です。
本人としては自覚できない微妙な違和感となるため、周囲と話がかみ合わなかったり、誤解されてしまったりすることで、ストレスがたまりやすいものです。
認知症の高齢者に対して、周囲の人間が対応を間違えてしまうと、余計に相手を傷つけてしまう恐れがあります。これらの認知症の症状に対して家族が適切に対応するのは、非常に難しいことであるといえるでしょう。
認知症の方と共存する難しさ
認知症のケアとしては、本人の生きがいや尊厳を守ることが重要です。なんでもかんでも役割を取り上げるのではなく、自分でできることは自分でさせることで、認知症の症状緩和が期待できるようになります。しかし、見ている側としては認知症の人に何かをやらせようとハラハラしてしまいます。認知症患者に対して、何かを「任せる」ということが、意外に難しいのです。場合によっては、中断させて自分が代わりにやってしまいたく感じることでしょう。
サポートやサービスを受けることで家族円満に
認知症の方の介護を家族が対応する場合、何かと問題が起こることがあります。大好きだったはずの家族が、時に憎く感じてしまうこともあるでしょう。ご家族にとって、肉体的な負担はもちろんのこと、精神的な負担も計り知れません。
また、認知症の方にとっても、ふがいない気持ちにさせられてしまい負担が大きいでしょう。グループホームであれば、認知症ケアに長けたスタッフに任せることができます。お互いの負担もなくなるので、おすすめといえるでしょう。
まとめ
グループホームというのは、認知症の方を対象とした共同生活型の介護施設です。認知症の方のストレスにならないように、小規模のユニットで、共同生活を進めることができるでしょう。住んでいる地域の施設にしか入ることができないため、場合によっては空きが出るまで待機する必要があったりします。それでも、認知症の進行緩和やストレスの低減など本人にとっても家族にとってもメリットは非常に大きいです。ぜひ、グループホームの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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