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地域包括ケアシステムとは?

最終更新日2019年05月15日09:08

介護を必要とする年老いた親の「住み慣れた土地で最後まで暮らしたい」という希望。どうにか叶えてあげたいとは思うものの、遠方に住む自分は世話をすることは難しい。そうした悩みを抱えているという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、要介護状態の高齢者を、地域で一体となって支えることを目指す地域包括ケアシステムについて、概要や仕組み、実践例など、詳しくご紹介します。

地域包括ケアシステム

地域包括ケアシステムの図
地域包括ケアシステムとは、介護を必要とする高齢者が、それまで暮らしてきた住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けながら最期を迎えられること。「住まい・医療・介護・予防・生活支援」の5つを一体的に提供される体制の構築を目指すシステムのことです。

厚生労働省によると、地域包括ケアシステムにおいては、30分あれば駆けつけることが可能な日常生活の範囲を、「地域」として想定しています。

過度に病院に依存した生活から抜け出して、住み慣れた環境で、その人らしい暮らしを実現するには、医療と介護が連携してサービスを提供することや、保険者である市町村や都道府県が、それぞれの地域の特性に応じた形を作り上げていくことが必要になっていきます。

地域包括ケアシステムの歴史

地域包括ケアシステムという考え方が誕生したのは、1980年代です。
当時、広島県御調町では、「高齢者の寝たきりゼロ」を目指して、医療現場と福祉行政が連携する画期的な取り組みが行われていました。
寝たきり高齢者の問題に対して、医療だけで向き合うのは限界があると考え、医療や保険、福祉といった多分野が連携し、在宅高齢者のケアに取り組みがあったのです。
この取り組みが、後に“地域包括ケアシステム”と呼ばれるようになります。

それから10数年が経過した2000年には介護保険制度が始まりました。
しかし、高齢者を支えるためには、病院などの施設が主軸となる医療や介護によるサービスだけでは不十分で、生活支援なども連携した地域全体で取り組む地域包括ケアシステムの考え方の存在感が増してきます。

2014年に医療介護総合確保推進法が施行され、ベビーブーム時代に生まれた団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年へ向けて、地域包括ケアシステム構築が全国的に進められることに。

地域包括ケアシステムが誕生した背景

地域包括ケアシステムという概念の存在感が増している背景には、少子高齢化があります。
出生率の低下と平均寿命の延長によって、高齢者の割合が急速に増加している日本では、この少子高齢化が深刻な問題です。

高齢者の人口比率が増加すると、老化や病気、認知症などによって介護が必要となる人の数も増加。一方で、そのような介護を必要とする人々を支えるために必要な介護職の担い手の数は大きく不足しています。そのため、従来の介護のあり方では、近い未来に、高齢者を支えきれない状況に陥ることが予想あるわけです。

また、介護保険や医療保険などで高齢者を支えきるのは難しいという、国全体のお金の問題にも直面しています。

地域包括ケアシステムの構築によって、病院などの施設で行う医療・介護サービス中心の現状を、地域全体で相互に連携し、在宅で高齢者を支えることで、介護職の担い手不足や社会保障費の増大という財政問題を解決できるのではないかと期待されています。

地域包括ケアシステムの考え方

地域包括ケアシステムの構成要素

高齢者の暮らしを包括的に支えることを目的とする地域包括ケアシステムは、5つの要素から構成されています。
ここでは、5つの構成要素について詳しく説明します。

1.介護

介護を必要とするようになった場合に利用する介護サービスを指します。
訪問介護や訪問看護など在宅の要介護者を支援するサービスや、短期入所型の生活介護などがあります。

2.医療

病気になった場合に利用する医療サービスを指します。
日常的に通う、かかりつけ医の存在や、地域の病院の連携、急性期入院、リハビリテーション病院などのサービスが該当します。

3.予防

元気で健康的な生活を送るために必要なサービスが、介護予防です。孤独にならないよう高齢者の居場所作りや、高齢者自身が主体的に参加できる環境を生み出します。これにより健康や保険衛生面にもアプローチします。

4.生活支援

地域の福祉サービスや近隣の住民との交流などで、高齢者の日常の暮らしを支えて、自立した生活を送るサポートをするサービスのことを指します。
例えば、老人クラブや自治会による交流やボランティアの生活支援などがあります。

5.住まいと住まい方

高齢者の住まいの問題に対するサービスです。
保証人の確保や空き家の活用などによって、高齢者の住居を確保したり、サービス付き高齢者向け住宅を提供したりすることで、生活の基盤を整える支援をします。

高齢者本人だけでなく家族の心構えを前提に、「住まいと住まい方」で生活の基盤を確保し、「生活支援」によって日常の暮らしをサポートします。
さらに、「予防」、「医療」、「介護」が連携して機能することで、5つの構成要素が有機的に結合し、地域包括ケアシステムを作り上げていきます。

地域包括ケアシステムのポイント「4つの助」

「介護」、「医療」、「予防」、「生活支援」、「住まいと住まい方」の5つの要素が効果的に連携した地域包括ケアシステムを実現するためには、「4つの助」という考え方が非常に大切になります。

自助

1つ目は、自分自身で自分を助ける「自助」という考え方です。
普段から自分のからだを気遣い、健康診断を受けたり、かかりつけ医に定期的に体調を相談したりするといった形で自主的に様々なサービスに取り組むことが大切になります。

「自助」では、住み慣れた土地で自立した生活を送るために必要なサービスは自費で利用します。

互助

2つ目は、個人と個人がそれぞれの関係性の中で、互いに助け合う「互助」という考え方です。
近所付き合いや自治会、ボランティアなどの非制度的な関係性を利用して、住民同士が助け合う仕組みが必要になります。

共助

3つ目は、「共助」です。「互助」とは異なり、制度化された公的な相互扶助を意味します。
医療や年金、介護保険のような社会制度は、助け合いの精神が根底にあり、相互に負担することで成り立っています。

住民同士の自発的な助け合いの「互助」と、公的な制度化された助け合いの「共助」とは区別して考える必要があります。

公助

最後は、国や自治体による社会福祉制度を意味する「公助」です。
自分や周囲の人では対応しきれない問題を、国が助けます。

地域包括ケアシステムの構築のカギは「助」の連携

地域包括ケアシステムの構築には、「4つの助」が効果的に連携するかどうかが重要なキーとなっています。

高齢化が進み、介護の担い手が不足し、公的な支援だけで高齢者を支えきることも財政的に難しいというバックグラウンドから地域包括ケアシステムの重要性が高まってきました。
そのため、地域包括ケアシステムでは、高齢者本人が自立して自分を支える「自助」が基盤になり、自分だけでは支えきれない部分を「互助」の働きによって助け合い、補っていくことが重要になります。
そして、「自助」と「互助」の役割を高め、それでは支えきれない部分に関しては、「共助」や「公助」が支えます。

「自助」や「互助」をうまく機能させながら、「共助」と「公助」の負担を減らし効率よく連携させることで地域包括ケアシステムが成立します。

地域包括ケアシステム実現のプロセス

厚生労働省によると、「市町村では、 2025年に向けて、3年ごとの介護保険事業計画の策定・実施を通じて、地域の自主性・主体性から、地域の特性に応じた地域包括ケアシステムを構築」していくとされています。
では、地域包括ケアシステムを実現させための3つのプロセスを紹介しましょう。

①地域ケア会議を開催し、地域の課題の把握と社会資源の発掘をする
日常生活圏域のニーズ調査や、地域ケア会議の実施により、その地域の抱える課題を洗い出し、分析します。また、地域のサービスを担ってくれる地域資源や地域リーダーの発掘を行います。
②地域ケア会議での地域関係者による対応策の立案・検討
市区町村レベルの地域ケア会議を行い、地域の課題の分析を進め、解決策を探ります。
③市区町村における対応策の決定と整備・実行
地域の抱える課題を解決するための対応策を決定し、地域ごとのサービスを事業化・施策化します。

以上の3つのプロセスでPDCAサイクルを回し、地域包括ケアシステムは常に改善され続けながら、実現していきます。

システムを実現するための「地域ケア会議」

地域包括ケアシステムの実現のためには「地域ケア会議」が欠かせないものになります。

地域包括支援センターなどが開く圏域ごとの地域ケア会議では、その地域ごとの課題を把握し、分析します。そして、見つかった課題を市区町村レベルの地域ケア会議の場で話し合い、具体的なサービスの立案に繋げます。

「圏域ごと」、「市区町村ごと」の二段階の地域ケア会議によって、地域包括ケアシステムは構築されます。

また、システム内で重要な役割を担う地域ケア会議は、以下の5つの機能を持っています。

個別の課題解決

各地域における高齢者が持つ個別の課題の解決に取り組む機能です。

関係者間のネットワーク構築

地域包括ケアシスムの関係者たちを結び付け、連携させる機能です。医療や介護、地域の支援サービスの連結をサポートします。

地域の課題発見

個人ではなく、地域に共通した課題を見つけ出す機能です。

地域の社会資源の開発

その地域で暮らす高齢者がより暮らしやすくなるように、社会資源の開発を行う機能です。

政策への反映

圏域ごとの地域ケア会議で得られた課題を、市区町村全体で統合・分析し、自治体の政策に反映させる機能です。

地域包括ケアシステムのメリット

継続的な医療と介護の連携サービスにより自宅でも生活ができる

従来のシステムでは、医療と介護の連携が不十分なものでした。
地域包括ケアシステムの下では、在宅医療サービスと介護サービスの連携により、サービスの提供がより柔軟になります。
そのため、介護を必要とする方にも適切な医療ケアを提供できますし、医療に高く依存していた方でも、効果的な介護サービスとの連動が自宅での暮らしを実現させてくれます。

認知症の方が自宅での生活を続けられ、その家族も暮らしやすくなる

地域包括ケアシステムの構築により、地域支援ネットワークが活用されると、認知症の方へのサポートがより充実。認知症サポーターや認知症カフェが増えると、地域全体で支援する環境が整い、認知症になっても、自分の家での生活を続けることができるようになります。また、地域で支える仕組みが機能すると、家族の負担も軽減に繋がります。

高齢者の状況に応じたサービスに柔軟に対応できるようになる

人それぞれの、できないこと、難しいこと、に応じた柔軟なサービスを提供することができるようになります。
買い物やゴミ出しなどの日常生活のサポートや、見守り、その人に相応しい介護サービスなどを個々の事例によって対応可能となることも、地域包括ケアシステムのメリットの1つになります。

高齢者の社会参加が活発化する

地域包括ケアシステムでは、高齢者同士が助け合うことも重要なポイントになってきます。
元気な高齢者が、助けを必要とするほかの高齢者の生活を支える役割を担うことで、高齢者が活発に社会へと参加し、生きがい・やりがいを見つけられるため、介護予防にも繋がります。

地域包括ケアシステムの取り組み事例

地域包括ケアシステムの取り組み事例として、「東京都世田谷区」、「兵庫県神戸市」、「北海道札幌市」の例を紹介します。

東京都世田谷区の事例

人口規模の大きな東京都世田谷区では、NPO・事業者・大学・行政など約70団体が連携・協力して、高齢者の社会参加を促進しています。

世田谷区では、地域包括ケアシステムの構成要素5つにバランスよく取り組んでいます。

  1. 介護…定期巡回や臨時対応型訪問介護看護を促進。
  2. 医療…医療と福祉の連携を強め、在宅医療を促進。
  3. 予防…高齢者の居場所と出番作り。
  4. 生活支援…地域活動や資源を活用。
  5. 住まいと住まい方…グループホームや都市型軽費老人ホームの充実を図る。

神戸市の事例

神戸市では、「バラ園ネットワーク」を中心とした見守り体制の強化を行っています。
そこでは、地域住民同士で地域の高齢者の情報を共有するとともに、異変を感じた際には、地域包括支援センターが医療や介護のサービスに携わる専門職の人々へ情報を伝達。
「バラ園」を中心とした見守りネットワークが、地域の高齢者の生活を支えるという形で地域包括ケアシステムの実現に取り組んでいます。

北海道の事例

北海道では、北国という地域特性ゆえに多くの高齢者が直面する問題を地域包括ケアシステムによって解決しました。
積もった雪によって生活を阻害されているのに、自分で除雪作業をする体力に不安がある高齢者は、役所に委託された中間支援組織に支援を申し出ると、住民ボランティアに除雪をしてもらうことができます。
地域特有の課題を、住民のボランティアが解決しただけでなく、自治体の施策をきっかけとして、地域の企業や大学も自発的に除雪に協力するようになり、地域が包括的に支援体制を作り上げることができた事例です。

地域包括ケアシステムの今後の課題

地域包括ケアシステムを実現していくうえで、今後取り組まなければいけないと思われる課題も当然存在します。

医療と介護の連携

地域包括ケアシステムを構築するためには、医療と介護の連携がとても大切になります。しかしながら、医療と看護の協力体制は未だ十分に整備されていません。

システムの主柱ともいえる、医師や看護師などの医療従事者と介護職従事者の連携体制の遅れは、今後、大きな課題となると思われます。

地域格差

市区町村を軸に高齢者を支えるという地域包括ケアシステムは、地域という特性上、人口や財源、環境、風土など様々な違いがあり、地域ごとに提供できるサービスは当然ながら生まれてしまいます。例えば、A市で受けることができるサービスがB市では受けられない状況になりやすく、高齢者にとって、暮らしやすい環境が整っている地域に人口が流出することも考えられます。

担い手不足

「自助」と「互助」をベースに組み立てていくことが、地域包括ケアシステムでは求められています。

しかしながら、核家族化が進み、地域コミュニティも希薄化する現代の日本では、助け合い、すなわち「互助」を担う人が十分にいるのだろうか、という問題があります。
地域社会の中で、高齢者の暮らしを支援する役割を果たす人がいなければ、地域包括ケアシステムは機能しません。

また、過疎化が進んだ地域では、高齢者の人口比率があまりに高く、支援する側の人々が不足するかもしれません。

まとめ

地域包括ケアシステムは、要介護状態になっても、長年暮らしてきた土地で最後まで生活することができるように、地域全体で一体となってサポートするシステムです。

今後は、地域包括ケアシステムの考え方に基づき、「自助」と「互助」を中心に、医療や介護、生活支援など多方面にわたって包括的に高齢者の暮らしをサポートする地域ごとの仕組みづくりが期待されます。

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