
介護保険の対象となる特定疾病【糖尿病性神経障害】とは?
投稿日 2019/05/13
最終更新日 2019/07/09
特定疾病というのは、介護保険や医療保険のような公的な保険。または生命保険のような民間の保険において、他の病気とは違う扱いをされる病気です。それぞれの保険によって、対象となる病気は違います。介護保険における特定疾病には、がん、初老期における認知症、パーキンソン病関連疾患、多系統委縮症、糖尿病性神経障害など16の特定疾病があります。医療保険における特定疾病には、血友病、人工腎臓(人工透析)を実施している慢性腎不全など3つの疾病があります。また多くの生命保険では、がん、脳卒中、急性心筋梗塞の3大疾患を特定疾病と定めています。介護保険の対象となっている、特定疾病の糖尿病性神経障害とは、どのような病気なのでしょう?
糖尿病性神経障害ってどんな病気?
血液の中を流れているブドウ糖のことを、血糖といいます。そのブドウ糖の、血液の中の濃度を示すのが血糖値です。
食事時などに物を食べると、血糖値が上がります。しかし膵臓から分泌されるインスリン(ホルモン)が、その血糖値を適切な値にコントロールしてくれるのです。
この膵臓から分泌されるインスリンに異常があると、血糖値は適切にコントロールされません。そのため血糖値の高い状態が、慢性的に続いてしまいます。これが糖尿病です。
血糖値の高い状態が長く続くと、体中の血管が弾力を失って、もろくなってしまいます。それが原因となって生じるのが合併症です。
合併症には、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害があり、糖尿病3大合併症といわれています。
糖尿病性神経障害とは、高血糖によって毛細血管が障害を受けてしまい、それが原因となって末梢神経に異常をきたしてしまう病気です。
神経が障害を受けるとどんな症状が現れるの?
神経が障害を受けると、手足が痛みだしたり、しびれたりするようになります。また感覚が麻痺するようにもなります。
下痢や便秘を繰り返し、立ちくらみ、発汗異常、尿が勢いよく出なくなったりします。味覚が鈍くなり、男性の場合には、勃起不全になる場合も珍しくありません。
また3大合併症の腎症や網膜症が5年10年と経過してから気付くのに比べ、神経障害は、手や足がしびれることで早い段階で自覚症状が現れます。
腎症は人工透析、網膜症は失明につながる怖い合併症です。神経障害もまた、シャワーを浴びることができないほど痛みを感じたり、反対に麻痺してしまったり、壊疽(傷などに細菌が感染し化膿して細胞が腐ってしまう)が生じることもあります。
糖尿病性神経障害の3つの症状とは?
糖尿病性神経障害は、症状や原因の違いによって、多発性神経障害、自律神経障害、単一性神経障害に分類されます。
多発性神経障害が最も多く、運動神経や感覚神経が障害を受けることによって発症します。手や足の末端に、痛みやしびれや麻痺を感じることが始まりです。それが少しずつ体の中心に向かって広がっていきます。
自律神経は、人が生きていくために必要な様々な機能を調節している神経です。障害を受けることによって、不整脈、体温調整、排尿等の、自律神経が関係している広範囲に症状が現れる可能性があります。
単一性は、神経を養っている毛細血管が詰まってしまい、神経に血液が通わなくなってしまった状態です。顔面神経麻痺など、その部分にだけ障害が現れます。
大切な予防と適切な検査と治療
神経障害にならないためには、予防のための検査が大切です。定期的に糖尿病の検査を受けるようにしましょう。
もし症状が現れてしまっても、他の病気が原因の場合もあります。同じような障害が出る病気かどうかを調べるために多くの検査を行う必要があります。更年期障害の症状と似たものも多くありますので、糖尿病と神経障害との関係を、よく理解しておきましょう。
糖尿病からの神経障害と診断され場合には、血糖をコントロールして改善することが第一です。重症でない限り、医師の指示どおりにコントロールすれば、障害は改善されます。
また症状を取り除くための、薬物療法もあります。
まとめ
手足がしびれたり、痛みだしたり、麻痺したりする。こんな症状が出始めたら要注意です。早い段階で、糖尿病性神経障害を疑いましょう。
更年期障害と似た症状が多くありますので、綿密な検査が必要です。糖尿病と神経障害との関係を、自分でもよく理解しておきましょう。
重症でない限り、血糖値をコントロールすることで、障害を改善することが可能です。早めに受診して、医師の指示に従いましょう。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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