
パーキンソン病患者は入れ歯が使えない?パーキンソン病の口腔ケア方法も紹介
投稿日 2019/03/25
最終更新日 2019/06/28
パーキンソン病は脳の異常により引き起こされる病気です。日本国内にパーキンソン病の患者さんは15万人程度いるといわれています。パーキンソン病の多くは50歳以上で発症することが特徴です。年々患者数は増加傾向で、パーキンソン病に対する新薬開発が進められています。パーキンソン病は、歯科治療でも問題になることが多いです。そこで、今回はパーキンソン病について詳しく掘り下げるほか歯科治療のどのような場面で問題となるのか紹介していきます。
パーキンソン病のメカニズム
パーキンソン病とは、神経伝達物質のドパミンという物質を分泌する量が少なくなってしまうことが原因で発症します。ドパミンを分泌する物質が減ってしまう原因は未だ明らかになっていないため、パーキンソン病は未解明の部分が多い病気として有名です。
現状、パーキンソン病を根本的に治療する薬はなくパーキンソン病の発症を遅らせることしかできていません。
パーキンソン病の検査には、MRIやC Tを使用することもありますが、体内の臓器へ放射線がどのように蓄積するか調べるSPECT検査という検査方法も一般的です。
パーキンソン病と歯科治療
パーキンソン病の症状は歯科治療に影響を与えます。主な症状は以下のものです。
運動緩慢
パーキンソン病の患者さんは、運動緩慢=動きが鈍くなってしまいます。これは、筋肉を動かすために必要なドパミンの分泌が減少することで筋肉を介して動かすことができなくなるからです。運動緩慢な症状が出やすい部位としては、顔の表情筋や舌が代表的になります。表情筋をうごかせなくなるため、無表情になることが多く感情を他人から読み取られなくなることで、舌の動きも悪くなるため滑舌や摂食・嚥下障害がみられる事もあります。
静止時振戦
振戦とは、身体が自分の意思とは反して震えてしまうことです。パーキンソン病では主に手足が震えてしまいます。昔活躍したボクシング選手のモハメドアリ選手はパーキンソン病ながら、オリンピックの聖火ランナーを務めましたよね。しかし、そのときも振戦が起きていました。これから日本では東京オリンピックに向けて昔のオリンピック映像が流れることがあると思うので、注目してみてください。
筋強剛
筋強剛とは、筋肉がこわばってしまい手足が動かしにくくなることです。手足だけでなく、関節のある首や肩などもうまく動かせなくなります。
では、ここまで紹介してきたパーキンソン病の症状の中でも歯科治療に影響を与えるものはどれでしょうか。それは、手足にみられることが多い静止時振戦です。
他にも、パーキンソン病には遅発性ジストニアという症状があります。これも振戦と同じように痙攣のような震えが特徴です。
入れ歯が装着できない
振戦やジストニアは歯科治療で歯を削るときの安全面でも問題となります。それ以外にも、入れ歯が安定しないなどのトラブルを招くのが特徴です。パーキンソン病の患者さんにおける歯科治療では、他の患者さんよりも治療にかかる時間や治療に対して配慮すべきポイントが異なります。
さらに、入れ歯を使用している場合は他の患者さんよりも調整回数やトラブルが起きていないか確認する間隔が短いです。
ご自宅でパーキンソン病の家族の口腔ケアをする際には、水や唾液をこまめに吐き出すように指導して、誤嚥するリスクを低くするようにしましょう。パーキンソン病はまだ原因やメカニズムが明確になっていない病気ですが、余命が短くなるような病気ではありません。さらに、現在は医学の進歩によって進行を遅らせることができるようになっています。パーキンソン病になっても人生を謳歌するために、歯科治療を受けるようにしましょう。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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