
脳血管疾患の既往がある家族の口腔ケアを正しく行おう!
投稿日 2019/03/25
最終更新日 2019/06/28
脳血管疾患とは、脳梗塞や脳出血の総称です。年間の患者数は117万人以上ともいわれています。脳血管疾患で怖いのは、発症が命の危険につながるということと発症後の後遺症です。また、多くの患者さんは、身体の麻痺を始め記憶障害など脳へのダメージも大きくなってしまいます。脳血管疾患は血管が狭窄することで発症しますが、歯周病細菌が原因で発症することもあるのです。歯周病細菌と脳血管疾患の関係性や脳血管疾患に対して口腔ケアをおこなう重要性について紹介したいと思います。
脳血管疾患になりやすい人は?
最初に脳血管疾患になりやすい人の特徴について紹介していきます。脳血管疾患になりやすい人は以下の人です。
中性脂肪が高い人
中性脂肪が高くなると、体内では悪玉のリポ蛋白という物質が増加。リポ蛋白は、血管内に蓄積されることで血管を細くする働きがあります。血管が細くなると、血管が詰まりやすい状況になるため心臓や脳血管疾患を招きやすいです。
中性脂肪で勘違いされやすいのは、普通体系であれば中性脂肪が低いと思っていることですが、性脂肪の値は普通体型でも高いことがあります。
肥満体型の人
肥満体型の人は、中性脂肪が高い傾向が強いです。中性脂肪が高いと血管が狭窄しやすくなり脳血管疾患を引き起こしやすくなります。
歯周病に罹患している人
歯周病に罹患していると、歯周病の原因細菌が歯茎の毛細血管から体内へ入り込みます。歯周病菌は血液中で、血液凝固作用を持ち血液の流れを阻害。歯周病が重症になればなるほど、血液中に流れ込む歯周病菌の数も多くなり血液凝固作用が強くなります。血管の中では、歯周病菌により血栓ができて最終的に脳血管疾患リスクが高くなるのです。
脳血管の後遺症と口腔ケア
脳血管疾患になるとどのような後遺症で悩まされるのでしょうか。主な後遺症としては以下のものがあります。
運動障害
脳血管疾患の後遺症で多いのが運動障害です。半身麻痺や手足の痺れが顕著に出ることがあります。これらにより、患者さん自身で歯磨きや口腔ケアをすることが困難になることが多いです。
嚥下障害
運動障害の一種ですが、脳血管疾患によって嚥下に関係する神経も障害されると誤嚥する可能性が高くなります。また、重度の嚥下障害が起きると経口摂取で摂食できなくなるため、栄養不足や全身の免疫力が下がる傾向が強いです。
家族のおこなう口腔ケア
家族は高齢者の患者さんに対してどのような口腔ケアをしていくのがよいでしょうか。一番大切なことは「長く続けていくこと」です。
口腔ケアは1日、2日ではダメなので長期間に渡りますが、自分の口のようにケアしてあげることが重要になります。
そこで重要となるのが「ルーティン化した口腔ケア」です。
ルーティン化とは、流れ作業のような印象を受ける方がいますが、実際に手順を踏んで決められた手順で口腔ケアをすることで口腔内を全体的に清掃することができます。
脳血管疾患の既往歴がある患者さんの場合、口腔ケアが十分にできていないため患者さんが不快に感じていることが多いです。患者さんが日頃から口腔内に不快感を感じている場合は爽快感を感じられるような歯磨き粉を使用するのも一つの方法になります。
ここで注意しなければいけないことは、マウスウォッシュは脳血管疾患の患者さんにとって誤嚥する恐れがあるため使用を避けるべきということです。
口腔ケアで家族の健康を守る
口腔ケアはただ虫歯や歯周病を予防するという意味ではありません。脳血管疾患の患者さんにとっては誤嚥をしてしまったときに誤嚥性肺炎を起こさないためにも口腔ケアが重要になります。家族が家族の健康を守るために口腔ケアをおこなう。これが脳血管疾患の患者さんの口腔ケアの大目的となります。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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