
葬式はしなくても大丈夫?葬式をしないメリット・デメリット
投稿日 2019/01/30
最終更新日 2019/03/21
葬式を行うのは当然という価値観も、絶対的ではなくなりはじめているようです。家族が亡くなっても行わない、本人が希望しないケースも出始めました。株式会社ティアが2014年から毎年行っている『葬儀に対する意識調査』があります。
2018年の調査では『自分の葬儀はしてもらいたくない』という人が52.5%『自分の葬儀をしてもらいたい人』が47.5%という結果でした。5年前の調査と比較すると『葬儀をしてもらいたくない人』は3.4%上昇しています。ただし『配偶者の葬儀をしたい人』は80.4%『親の葬儀をしたい人』は79.7%でした。自分の葬式はしなくてもよいが大切な人の葬儀をしたい人は多いようです。それでも、葬儀をしなくてもよいと考えている人は確かにいます。実際、葬儀はしなくてもよいのでしょうか?葬儀をしようかどうか迷っている人は参考にしてみてください。
法律的には問題なし
法律の観点から葬儀は義務かどうかと言えば、答えはNOです。『葬儀は絶対しなければならない』そんなルールはありません。葬儀をしなくても罰金や刑事罰が課せられることはないのです。ただし、注意しなければならないことがあります。葬儀はしなくてよいですが、火葬は行わなければなりません。
火葬については『墓地、埋葬等に関する法律』で行うことが定められているからです。火葬以外では土葬も含まれます。ただし、土葬は一部の地域でしか行われておらず一般的ではありません。「火葬は必要だが葬式はしなくてもよい」このことを踏まえ、直葬という形式も増えています。直葬とは火葬式とも呼ばれ、一般的な儀式として行われる通夜や告別式を省き、家族や親しい友人など、限られた人だけで火葬を行う形式です。
亡くなって24時間後、自宅や病院から直接、火葬場へ行き火葬炉の前で僧侶にお経をあげてもらい最後のお別れとします。亡くなってからすぐ火葬場へ行けないのは、死後24時間以内は火葬をしてはならないと法律で定められているからです。
葬儀をしないメリット
一般的な葬儀の儀式を行わない直葬のメリットは費用の安さです。『日本消費者協会』の調査では、葬儀費用の総額は約196万円です。196万円は大金ですから、個人の事情では一度に払えない場合もあるでしょう。価値観によって葬儀の必要性を感じない人もいるはずです。
そのような人は、196万円という大金を負担してまで葬儀をする意義を感じられないでしょう。一方、直葬は約20万円~30万円前後と費用は格安です。また、家族や限られた人しか参加しません。顔も名前も分からない親戚や故人の仕事先の人、知り合いへの対応も必要性ないのです。遺族の負担はほとんどないことは、費用以外での大きなメリットと言えるでしょう。
葬儀をしないデメリット
葬儀をしないことにはデメリットもあります。デメリットを理解しておかなければ、良好だった人間関係が簡単に崩れる可能性もあるので注意してください。
まず、直葬は一般的な葬儀ではありません。親族の中には従来の葬儀の儀式を重視する人もいるでしょう。そのような人の場合、遺族に非難の目が向けられる可能性が高いです。故人と仲がよかった友達にも配慮しなければなりません。人づてに故人が亡くなったことを知り、直葬後に弔問に来て「なぜ教えてくれなかった。最後のお別れができなかった」と残念がる人もいます。
それを見て、遺族に後ろめたさが生まれる場合もあるでしょう。菩提寺との関係も無視できません。直葬に否定的な菩提寺もあります。納骨をお願いしても、直葬をしたことで拒否される場合があるのです。納骨ができないのも大きな問題でしょう。大きなトラブルにならないよう、直葬を行うときは事前に周囲へ話をするなどの根回しが必要です。
まとめ
葬儀は法律で義務づけられているわけでもなく、してもしなくても個人の自由です。火葬はしなければならないため、直葬という形式になるでしょう。しかし、周囲の人が納得するかどうかは別の話です。一般的な葬儀を行うのは当然という価値観を持っている人、例えば親戚筋の人にとって直葬は奇異に感じるでしょう。
それが、トラブルに発展する場合もあるので注意してください。菩提寺に納骨を拒否される場合もあります。トラブルを防ぐため、直葬をするなら事前の対策が必要です。故人の意思であることを伝えるため、エンディングノートを見せたり、普段から周囲の人に伝えたりして、根回しを行いましょう。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
関連記事
- 高額介護合算療養費って何?分かりやすく解説
高齢者の介護費用、医療費用は、毎年のように制度の改正が行われ、本来保障されるべき負担額の上限が吊り上げられています。もともと収入源の少ない高齢者やその生活を支える家族にとっては、年々厳しさを増していま
詳しくみる - 介護施設にあったほうが良い医療サービス
介護施設が提供している医療サービスは、なにも医療行為に限定されたことではありません。万が一の時の医療機関との連携など、快適で安心した生活を送るために必要なサービスがたくさん用意されています。 しかし、
詳しくみる - 在宅医療に必要な費用とは?利用できる保険はどれ?
現在、介護もいろいろな形を選べるようになりました。「住み慣れた自宅で治療、療養させてあげたい」「病院に通うのが大変になので、在宅医療を考えている」というご家族も多いことでしょう。 しかし、病院での治療
詳しくみる - 介護施設での虐待はどれくらいの確率で発生する?
高齢化が進み、介護を受ける人の数も増え続けています。そして同じく表面化し、深刻な課題となっているのが高齢者虐待です。2006年4月に施行された高齢者虐待防止法(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する
詳しくみる - どんなに辛くても絶対避けるべき介護離職
在宅介護を何年も続けていると、仕事を辞めて介護に専念しようと考え始めるのも珍しくはありません。職場と自宅の往復で介護と仕事に明け暮れていると、心身ともに疲労が蓄積します。どちらかを手放して時間を取ろう
詳しくみる - 介護うつにならないためにしておくべき5つのこと
在宅介護をしていれば、どんな方でも常に「介護うつ」になる危険があります。うつ病を発症する方には性格的な特徴があるといいますが、介護うつに限っていえば、おそらくどのような性格であっても危険度に違いはあり
詳しくみる
あなたにおすすめの介護施設
エリアから探す
全国の介護施設を検索することができます。都道府県を選択してください。