
【介護に必要な費用はいくら?】寝たきりのEさんの場合
投稿日 2019/04/19
最終更新日 2019/05/31
要介護度5のEさんは85歳で寝たきり状態です。脳卒中になり突然倒れ、命は助かりましたが、残念ながら重篤な半身まひと言語障害が残り、寝たきりとなりました。要介護認定は要支援の1、2、要介護1~5という7つの段階があります。要介護度5は食事や排泄、入浴、日常生活のすべてで他者の介護が必要です。
寝たきり状態ですから、認知症などで生じる徘徊などはありません。それでも、食べる力も衰えており、誤嚥から肺炎で亡くなる可能性あるため家族の介護に対する精神的ストレスも大きくなりました。在宅介護でのケアに限界を感じ、特別養護老人ホームの入居という流れです。Dさんの場合は、どの程度の介護費用がかかるのでしょうか?要介護度5、寝たきり状態となったDさんの介護費用について解説します。
要介護度5の介護保険限度支給額
要介護度5の1カ月に支給される介護保険限度支給額は36万650円です。この金額は要介護度レベルの中でも、一番高い金額となります。従来、利用者の自己負担額は通常で1割、一部高所得高齢者だと2割負担でした。
ただ、2018年施行となった介護保険法改正で、従来、2割負担だった人の中で特に所得が高い人の自己負担額が3割負担に変わっています。また、介護保険限度支給額を超える介護サービス利用では、全額利用者が負担しなければなりません。特養などの施設に入居する低所得の人は、限度支給額を超過しても、介護保険から捻出され、居住費、食費を軽減される措置が設けられています。
寝たきり状態となったDさんの介護費用の一例
要介護度5寝たきりのDさんの場合、特別養護老人ホームに運良く入居できました。ユニット型ご質への入居ですが、30日計算による月額利用料で居住費が6万円、食費が4万2000円、日常生活費に約1万円で施設サービス費の1割で約2万7500円となり、合計で約13万9500円となっています。
多床室の場合だと食費と日常生活費は変わりません。ただ、居住費が2万5200円、施設サービス費の1割が約2万5000円となるため約10万2200円です。Dさんのお子さんは父親のことを考えユニット型個室を選びましたが、費用の節約を考えるなら多床室という選択も考えられるでしょう。
要介護度5だが在宅介護を選んだFさんの場合
要介護度は日常生活を自力で行えず全面的な介助が必要です。ただ、Fさんのご家族は在宅介護に決めました。その場合の介護費用ですが、訪問介護で約2万2032円、デイサービスなどの通所介護で1万429円、訪問介護4600円で、自己負担額は合計3万7061円です。介護用ベッド一式や車椅子など福祉用具のレンタル代金もかかり、最終的には約4万円前後の費用がかかっています。
介護のときに気をつけておきたいこと
要介護5度のEさんの場合コミュニケーションを取ることができません。自力で日常生活を送れず寝たきりの状態です。それだけなら在宅介護でも十分と考える人もいるかもしれません。要介護3なら歩行もできるため、徘徊など周辺症状も出る可能性があります。
ただ、寝たきりの場合、床ずれなどの心配もしなければなりません。朝から夜まで一日中、床ずれ対策のための体位変換が求められます。入浴、排泄に関する介護も家族がすべて行っているときもあります。仕事と介護の両立に限界がきて介護離職をする人も少なくありません。そのため要介護度5レベルになると、特別養護老人ホームなどの入居を考える人が多くなるのです。
要介護度5でもリハビリが行える人もいます
要介護5となれば、ベッドで寝たきりばかりでリハビリはできないと決めつけてはいけません。要介護5のベッドでの寝たきり状態からリハビリをして歩行できるまで回復した人も世の中にはいます。負荷の少ないマシンを使用しての運動などで、週3回3週間ずつリハビリを行い、歩行器を使って歩ける状態になった人も。
病気になって入院し、筋肉が衰えたことで歩行がむずかしくなった人もいます。このような人も専門スタッフによる歩行訓練で自立歩行ができるようになり、要介護3になったケースもあるのです。重度の認知症ならともかく、別の理由で要介護5になっても、あきらめなければ回復する可能性はあるのです。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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