
正しい知識を身につけよう! 高齢者が気をつけておきたい薬の副作用
投稿日 2019/04/15
最終更新日 2019/05/01
在宅介護生活をされている方はもちろんですが、年齢を重ねてなんらかの病気で病院通いをされることの多い高齢者の方の多くが、日常的になんらかの薬やサプリメントを服用しているのではないでしょうか?
本来であれば身体にいいはずの薬ですが、服用方法を間違ってしまったり、他の薬との飲み合わせが悪かったりすると、副作用が出てしまうことも。副作用とは、身体にとって望まれない有害な作用。できるだけ予防するとともに、薬を飲む際には副作用が出ていないか、意識してチェックすることが大切です。高齢者の方が特に気をつけておきたい薬の副作用について、薬の種類別に解説します。
精神系の薬剤の副作用
認知症の治療などを目的に処方される精神系の薬剤は、認知機能障害に対する治療薬はもちろんのこと、幻覚や不安、うつ、興奮、攻撃性、徘徊などのBPSDと呼ばれる症状に対して処方される薬もあります。
日本老年医学会がまとめている「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」では、特に慎重な投与を有する精神系の薬剤として次のようなものがリストに挙げられています。
- ベンゾジアゼピン系睡眠薬/抗不安薬
- 非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
- 三環系抗うつ薬
- SSRI
- スルピリド
- パーキンソン病治療薬(抗コリン薬)
- オキシブチニン
- ヒスタミンH1/H2受容体拮抗薬
こうした薬剤には、それぞれ認知機能への影響や意識が朦朧とする、ふらつくなどの副作用が出る場合があります。
例えば徘徊症状のある高齢者の方が、足元がふらつく副作用のある薬を服用した場合、徘徊時の転倒や事故等の心配が出てきます。
処方された際には、副作用にはどんなものがあるのかを聞き、飲むタイミングなどを相談するようにしましょう。
循環器系の薬剤の副作用
不整脈の治療薬や血栓予防の薬、心不全に対する薬などといった循環器系の薬は、腎機能の低下や立ちくらみ、出血といった副作用が出る場合があります。
例えば先ほどご紹介した日本老年医学会の「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」では、抗血栓薬として処方されることのあるアスピリンには、副作用として上部消化管出血のリスク上昇が指摘されています。また、中には骨粗鬆症や骨折をしやすくなったり、呼吸器疾患が悪化しやすかったりするものもありますから、かかりつけ医やかかりつけ薬局を持ち、持病や体の状態に合っているかどうかを確認することが大切です。
糖尿病系の薬剤の副作用
高齢者の方の場合糖尿病の薬を服用する際には、特に低血糖リスクに注意が必要です。
例えばスルホニル尿素薬(SU薬)やヒグアナイド薬、インスリン製剤には低血糖のリスクがあると言われています。
血糖値の上昇を抑える糖尿病の治療薬の場合、薬の作用が強すぎて低血糖になってしまえば、最悪の場合命にも関わります。糖尿系の薬を飲む際には、特にきちんと医師や薬剤師から指導を受けた服用量・回数を守り、副作用を予防することも重要です。
もしも服用を始めて「変だな」と感じるようなら、直ちにお近くの薬剤師や医師に相談するようにしましょう。
サプリメントや漢方にも注意
健康のため、と処方された薬以外にサプリメントや健康食品、漢方薬を飲んでいる方も要注意です。
漢方は、西洋医学の薬と比べて効きが比較的ゆるやかであるとは言われていますが、飲み合わせによっては体調に悪影響を及ぼすこともあり得ます。
また、サプリメントも長期服用によって副作用を引き起こす可能性があるものや、今飲んでいる薬との相性が悪いものもあります。
サプリメントだから安心、と過信せずにサプリメントでも副作用や悪影響が出ることもあるとしっかりと認識し、異変を感じたらすぐに服用をやめて専門家に相談しましょう。
不安を感じたらすぐに薬剤師や薬局に相談を
在宅介護生活をしていると、どうしても多くなってくる薬の量。飲み間違いや飲み忘れには気をつけていても、薬の副作用については忘れがち。処方箋通りに飲むことももちろん大切ですが、不安や不調を感じたらすぐに専門家に確認・相談することが副作用対策では重要です。
かかりつけ医でも良いですし、かかりつけ薬局の薬剤師さんなら薬の飲み方含めて気軽に相談できます。在宅介護中の方も、新しい薬を処方され飲み始めたら、副作用がないかなど、気をつけて見てみるようにしてくださいね。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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