
高齢者の食事をする前に!食べるためのトレーニングを取り入れてみよう
投稿日 2019/01/08
最終更新日 2019/03/21
高齢になると、食べ物や飲み物を飲み込んだ時に食道へ行かず気管へ入ってしまいます。これを誤嚥といい、口腔内の細菌が気管に入ることで肺炎の発症リスクが高まるのです。この肺炎を「誤嚥性肺炎」といい、高齢者の死因上位に入るほど問題となっています。また、病院や老人介護施設などでは一度誤嚥が原因で肺炎を発症すると経口摂食を禁じることもあるようです。何歳になっても、食事は日々の楽しみの一つですよね。
そこで、今回は高齢者が食事のときに誤嚥をしないための食前トレーニングを紹介していきます。
飲み込みが悪くなると嚥下障害になる
まず、なぜ高齢者は誤嚥しやすくなるのでしょうか。
それは、飲み込む力が弱くなるからです。高齢になると共に筋力の低下が出ますよね。口まわりや喉の筋肉も同じです。さらに、反射反応も鈍くなります。
誤嚥をしたときに人間は反射的に咳をして誤嚥したものを排出しようとします。しかし、その反射反応が鈍くなることで、排出できず肺炎を発症しやすくなってしまうのです。
このことから誤嚥をしやすい「嚥下障害」になります。
嚥下障害になれば、食事を飲み込みにくくなるだけでなく、誤嚥のリスクを回避するため経口摂食を禁止になることもあります。
経口摂食を禁止されると脱水症状や栄養低下を招く恐れが出てきて危険です。また、人間の楽しみの一つである食事を奪うことにもつながります。
飲み込みをよくするトレーニングを実践
嚥下障害を起こさないためにも、高齢になったら食前に飲み込みをよくするトレーニングをするようにしましょう。
以下にトレーニングの方法を紹介します。
呼吸を整えるトレーニング
腹式呼吸を意識して呼吸のトレーニングをします。腹式呼吸ができていると、誤嚥しても咳で排出しやすくなります。
<方法>
- 息を吐き出す
- このときお腹を凹ませる
- 凹みきったら、そこからゆっくりお腹に息を入れるようにして吸う
- 1〜3を繰り返す
発音を使ったトレーニング
発音といっても使うのはパ行・ラ行・タ行・カ行・マ行です。
通称、パタカラ体操とも呼ばれるトレーニングで、食べ物を喉まで運ぶ一連の運動を鍛えています。
実際にやってみるとわかりますが、これらを発音するときは口全体や舌・喉を使います。
<方法>
1. パ行・ラ行・タ行・カ行・マ行をゆっくり動かして発音する
首のトレーニング
首のトレーニングというよりかはストレッチです。
この運動を行うことで、首の筋肉の凝りが取れて飲み込みやすくなります。
無理のない範囲で首を左右に動かすなどするだけなので、気軽に実践できるのもポイントです。
高齢者が食べやすい食べ物と食べにくい食べ物
誤嚥しないためのトレーニングを今まで紹介してきましたが、ここでは誤嚥しにくい食べ物について紹介しましょう。
誤嚥を食べ物の選択から防ぐことでより効果的になります。
牛乳よりもヨーグルト
同じ乳製品を摂取するのであれば、牛乳よりもとろみのついているヨーグルトを選ぶようにしましょう。乳酸菌が含まれているため、腸内環境の維持にも効果が期待できます。
白米よりもおかゆ
ご飯を食べたい気持ちはわかりますが、誤嚥しやすくなっている場合はおかゆにすると安全性が高いです。その理由として、おかゆにはとろみがついています。
とろみがあると、喉元をスルッと通りやすくなり嚥下が容易にできる傾向があります。
生果物よりもゼリー
おやつで果物を食べるときは、ゼリーの方が飲み込みやすいです。
食べる楽しみを尊重してあげよう
口から食事をすることは人間の3大欲求の一つ、食欲を満たす一番の行為です。
この楽しみをなくさないためにも、高齢になれば誰でも誤嚥するリスクが上がると頭においておき、自分だけは大丈夫と思わないように注意しましょう。
また、どうしても誤嚥を防止する意味で食事にとろみを付ける場合は食べやすさを向上させる意味を込めて、見た目にも気を使ってあげると良いです。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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