
遠距離介護で使用する交通費は医療控除になるのか?
投稿日 2019/03/21
最終更新日 2019/07/25
遠距離介護ではどうしても交通費がかさみます。「親の治療費を支払った時のように、医療費控除にならないだろうか?」と、考える人もいるかもしれませんが、残念ながら医療費控除の対象にはなりません。
ここでは、遠距離介護という選択をした場合のメリット・デメリットと、遠距離介護にかかる交通費を削減する方法などあわせて解説していきます。
遠距離介護のメリット・デメリット
核家族化が問題になっている近年、家族や親戚が遠方で暮らしている場合に、同居や近くでのサポートではなく、遠距離介護を選択するケースも増えてきています。
それでは、遠距離介護のメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
メリット
・お互いに適切な距離が保てるため、心理的・肉体的ストレスが軽減する
・同居をしていないケースのほうが、公的な介護保険サービスが優先される
・両者とも、仕事や住環境の変化がないため今までと変わらない生活が保てる
デメリット
・帰省の費用がかかる
・被介護者になにかあった場合にすぐに対応ができない
・近くにいないため、状況の把握がしにくい
交通費は医療控除対象外
介護は基本的に親の資産でまかなうべきものですが、時には自分や配偶者の親の治療費を代わりに支払わなくてはいけないこともあるかもしれません。そんな時は、ぜひ、医療費控除を受けましょう。
たとえば「夫が妻の父親の医療費を支払った」というような場合には、夫の所得税から医療費控除を受けることが可能です。ただし、一定金額以上支払っていないと対象とならないので注意してください。
このような医療費控除があるので「遠距離介護にかかった交通費も対象となるのでは?」と、期待する人もいますが、そうはなりません。なぜならば、医療費控除はあくまでも医師などによる医療・治療行為を前提としているからです。
交通費を削減する工夫をしよう
医療費控除にはならない遠距離介護の交通費ですが、費用を削減するための方法はいくつかあります。
飛行機の介護割引
JALやANAなど多くの航空会社では、介護者のために割引運賃を設定しています。この介護者割引運賃を利用するには、事前に介護パスを作成しなければいけませんが、通常運賃の3~4割引になるのでぜひ作っておきましょう。
新幹線の早特きっぷ
最近では同じ区間でも飛行機より新幹線の方が高いこともめずらしくありません。割高なイメージの新幹線ですが、席数限定の「早特きっぷ」ならば最大で50%割引になることも!「早特きっぷ」には何種類かありますが、何日前までに購入すれば良いかはそれぞれで異なるので、管轄するJRのサイトなどを確認してみましょう。
離れていてもできる支援を
遠距離介護ではどうしても、月に1度の訪問が限界ということもあります。そんな時には、インターネットを利用した見守りサービスを利用してみてはいかがでしょうか。
あんしんテレちゃん
NTTテレコン株式会社が提供しているサービスです。見守りたい家のガスメーターに通信装置を接続し、1日に1度、24時間のガス使用量を介護者にメールしてくれます。「ガスの使用がない」等の異変にすぐ気がつくことができるでしょう。
オンライン見守りサービス「見守りん」
「ITによるメンタルケアの充実化」を図る株式会社エクセリーベが提供しています。傾聴のプロがテレビ電話で高齢者とコミュニケーションしながら優しく見守ることが特徴です。介護者には日常生活のレポートを届けてくれます。
おへやプラス
ニフティ株式会社が提供しています。実家の部屋の様子を遠くに離れた場所からスマホでチェックすることが可能です。湿度、温度なども計測し、熱中症やインフルエンザのリスクが上昇した場合にはアラートで知らせてくれます。
まとめ
遠距離介護にかかる交通費は医療費控除の対象にこそなりませんが、さまざまな方法で節約することが可能です。正規の運賃で通っていては家計を圧迫するばかりなので、介護割引などを積極的に活用するようにしてみてはいかがでしょうか。
どんなに節約しても、月に1回、会いに行くのが限界ということもあるでしょう。そんな時には、インターネットを使った見守りサービスを活用するのもひとつの方法です。離れた場所からでもできることは少なくありません。また、遠距離介護というのは被介護者が一定以上の自立し生活が送れていることが前提となります。認知症の症状が現れたり、一人での生活ができなくなったりした時のことを考えて事前に介護施設の情報を集めておくことも大切です。
金銭的にも体力的にも無理しすぎないように、できることから取り組んでみてはいかがでしょうか。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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