年を取ると、食事のための買物や調理自体が面倒になったり、食事そのものへの関心が薄れたりしていく傾向にあります。若い時よりも運動量が減り、お腹がすかなくなる高齢者も多いのです。また、働き盛りの頃と同じように「腹八分目」を目指すあまり、必要な栄養素が不足する人も。高齢者こそ、元気を保つため、身体を動かすために必要な栄養をきちんと摂取していくことが大切になってきます。

1日に摂取したい栄養量の目安とは

高齢者が健康を維持するためには、基礎体力を保ち、抵抗力と免疫力を高めることが重要です。糖質や脂質がエネルギーを作り、たんぱく質が人間の血や肉となります。ですから、骨格を動かす筋肉の低下を防ぎ、できる限り運動機能を長持ちさせるためには、エネルギーと良質なたんぱく質が不可欠なのです。

それに加え、骨や筋肉を作るカルシウム、身体機能の維持や調節に欠かせないビタミンやミネラル、それから鉄分、食物繊維などをバランスよくとることが大切です。

1日に摂取するのが望ましい推定エネルギー必要量は、1日の基礎代謝量(性・年齢別の基礎代謝基準値)× 体重 ×身体活動レベルの値で示されます。この値は70歳以上の男性で1850~2200kcal、女性で1500~1750kcalとなっています。

※身体活動レベルは身体活動レベルⅠ「低い」とⅡ「ふつう」のみを表示。厚生労働省日本人の食事摂取基準(2015 年版)を参考

一言で「バランスのいい食事」といっても、私たちが普段の生活ではどういった意識づけを行っていくのか、細かく計算することは難しそうです。そこで、食品をおおよそ4つのグループに分けた4群点数法を参考にします。

栄養素が似ている食品を4グループ化し、その食品を組み合わせることでバランスのいい献立を考えるやり方です。各栄養素がどれだけ必要なのかも、簡単に理解することができます。

4群点数法では、食品を次の4グループに分類します。1日1600kcaの食品目安になります。

食品群 食品の例 特徴 、含まれる栄養(★)など
第1群:乳・乳製品・卵 卵 1個、牛乳 1~2杯、ヨーグルト 1個 骨を強め、体のパワーをつける。日本人が不足しがちな栄養素を含むため、欠かさず取りたい
★たんぱく質、カルシウム、鉄など
第2群:魚・肉・大豆製品 薄切り肉 3~5枚、切り身魚 1切れ、豆腐 1/6丁、納豆 1パック 肉や血のもととなる良質たんぱく質。いつも作り変えられるたんぱく質は毎日適宜食べておきたい
★たんぱく質、ビタミン、鉄、カルシウムなど
第3群:野菜・芋・果物 緑黄色野菜、淡色野菜(キノコや海藻含む)、じゃがいも 小1個、りんご 1/2本 体の調子をよくする食品群
★ビタミンC・B1、カリウムなどミネラル、食物繊維
第4群:穀物・油脂・砂糖など ご飯1食につき1杯、油やバター 約大さじ1強、砂糖約 大さじ1 力や体温となる食品。体重などに合わせて増減
★糖質、食物繊維、脂質など

少量で栄養を摂取できるメニューを心がける

高齢になればなるほど、食べる力が低下していきます。動きが単調になり、食欲がわかない、噛む力や飲み込む力、咀嚼や嚥下能力が衰えることで食べることが面倒になってしまいます。

そこで、少ない量で必要な栄養を取れるメニューを工夫しましょう。例えばご飯と味噌汁だけの食事のデザートとしてバナナを加えてもいいですね。またシラスやおかかをご飯にかけたり、冷やっこを追加するのも○です。

食事量が少ない場合、簡単なおやつを取るのもお勧め。チーズやゆで卵、ふかし芋や豆乳、かまぼこなどは手軽に取ることができそうです。

食べやすいメニューを工夫しよう

噛む力や飲み込む能力が落ちてきている場合、食事に苦労することになります。できるだけ食べやすいメニューを工夫して作ることが大切です。

硬い食材はすりおろしたり、細かく刻んだりすること。また、水分と同時に栄養を取ったり、とろみをつけたりすると飲みこみやすくなります。片くり粉やコーンスターチ、ゼラチン、とろみ調整食品などを使用してあん状のとろみをつけるなどして食べやすく作りましょう。調理の前に裏ごししたり、ミキサーにかけておいてもいいですね。

パンメニューではフレンチトーストがお手軽です。牛乳だけでなく、コーンスープなどに浸したフレンチトーストもおいしいです。おかゆに納豆や市販のピザトーストをかける納豆ドリアもお手軽かつ食べやすいメニューです。

お腹がすかない、食べたくないから食べない、するとさらに元気が出ない……。

高齢者が食事や栄養を摂取しないことは、悪循環を生みます。バランスよく食べることで、元気なエネルギーもわいてくるもの。ぜひ、試してみてください。