
高齢者における歯科治療の考え方!若い人とは大きく異なる
投稿日 2019/03/25
最終更新日 2019/06/28
年齢に関係なく医療を受けるかと思いますが、年齢によって治療の目指すゴールは異なります。歯科治療とは少し離れてしまいますが、ガンの治療を例えてみましょう。若年者や中年でガン治療をするとしたら、外科処置はもちろんですが抗がん剤を併用することもあります。つまり、若年者や中年におけるガン治療のゴールは「完治」や「寛解」という社会復帰ができる状態にすることです。
ですが、高齢者でガンになってしまった場合はどうでしょうか。外科処置や抗がん剤治療など身体へ負担のかかる治療をおこなうことは少なく、痛みに対する対処など余生を苦痛なく過ごすための治療をおこないます。つまり、高齢になると治療の目的は「完治」や「寛解」ではないのです。
今回は、歯科治療でも年齢によって治療の目的が異なることについて紹介していきます。
一般的な歯科治療
一般的に若年層や中年において、虫歯や歯周病があったら治療して関知するところまでを目標にしています。歯はできるだけ削らずに、神経も残すような処置が一般的でしょう。これは、患者さんの年齢を考えたときや、社会的な活動など総合的な観点で治療したほうが良いと判断されるからです。
もし、歯を抜いてしまったとしても社会で活動する上や、食事をとるために入れ歯を製作することが多くなります。入れ歯は一度作ったら終了ではなく、調整が必要になるため通院もできる若年層や中年の患者さんでなければおすすめできません。
もちろん、在宅医療でも入れ歯を調整できますが、在宅医療では緊急性の高い処置をするのに限界があることを知っておきましょう。
高齢者における歯科治療のゴールは?
では、若年者や中年の患者さんと異なり高齢者における歯科治療のゴールはどんなものなのでしょうか?それは、「生活の質をあげる」という一言に集約されるのではないかと思います。ここでいう高齢者は大きく分けて2種類に分けて考えられます。自立した生活ができている高齢者と家族の介護が必要になっている高齢者です。それぞれの高齢者ごとに見ていきましょう。
自立している高齢者の場合>
自立して生活している高齢者の場合、家族の介助を必要としないため若年者や中年と同じような治療方針になります。つまり、虫歯治療や歯周病治療に積極的になるのです。もちろん、被せ物を作るときはできるだけ歯を削らないようにして、入れ歯も作ります。
家族の介護が必要になっている高齢者>
家族の介護が必要になっている高齢者の場合は、治療方針が異なります。というのも、多くの場合自分で歯磨きをすることができず家族や歯科医師・歯科衛生士が口腔ケアをおこなう必要があるからです。
また、口腔内だけでなく身体の中から「細菌感染」を取り除くことが大切になります。虫歯や歯周病は細菌が原因で発症するため「細菌の温床」になっています。家族の介護やホームヘルパー・歯科医師などのサービスだけでは完全に口腔内を清潔に保つことは難しいため、少し大きな虫歯や歯周病の原因となっている歯を抜歯することがあります。
一般的な歯科治療から考えればあまり現実的ではない治療方針ですが、寝たきりになっている高齢者の場合は歯を残してプラークの温床になることの方が、誤嚥性肺炎を招く恐れがあり危険になります。
歯科治療のベストを尽くそう
高齢者で発症するリスクが高くなる誤嚥性肺炎は、日頃の口腔ケアで防ぐことができます。また、歯科医師や歯科衛生士によるプロフェッショナルなケアも重要です。その過程で、感染の根源になりそうな歯は抜歯する・虫歯治療で済む者は虫歯治療をするなど歯科治療でできるベストを尽くすようにしましょう。家族の健康を一番簡単に守れるのは、お口かもしれません。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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