
介護におけるモニタリングとは?
投稿日 2019/03/25
最終更新日 2019/05/31
要介護者の状態は日々変わっていくものです。要介護度が進めばより手厚いケアが必要ですし、逆に元気になってきたようならばいっそうの自立を支援する工夫をしなければいけません。しかし、要介護者の現状に合致したケアが必ずしも行われているとは限らないものです。
そこで、最近の介護業界で注目されているのが「モニタリング」です。モニタリングとはそもそもどのようなものなのか、また、導入することでどんな介護サービスを提供できるのか詳しく解説します。
モニタリングとは
モニタリングとはケアマネージャーが定期的に利用者のもとを訪問して、介護サービスの実施状況を確認する業務のことです。ケアマネージャーは、ケアプランを作成することがおもな仕事のひとつになります。介護保険下の介護サービスは、基本的にケアマネージャーが作成したケアプランに沿って実施されるからです。しかし、どんなに素晴らしいケアプランを作成しても、それが利用者の実情に合っていなければまったく意味がないといっても過言ではありません。
そこで、必要になってくるのがモニタリングです。ケアプランと違うケアが行われていないか、利用者の現状に即したものになっているか等に関するモニタリングを行い、家族などの希望も聞きながらケアプランに改良を加えていきます。
ケアマネージャーは在宅介護ならば利用者の自宅、デイサービス利用者ならば施設を訪問することもあります。具体的には利用者、家族、ヘルパーなどへの聞き取りや介護サービスを実施しているところの観察などを通じて現状を正しく把握することが第一歩です。
モニタリングでチェックする項目
モニタリングでチェックしたいのは、特に次のような項目です。
- ケアプラン通りの介護サービスが実施されているか
- 利用者の健康状態に変化はないか
- ケアプランにある項目以外のニーズは発生していないか
- 利用者、家族にどんな意見や要望があるのか
以上を「どのような方法でチェックしたのか」も、記録に残しておけばより正確でしょう。
またデイサービスセンターなどにモニタリングに行く際には、他の利用者との関係は良好なのか、プログラムに楽しんで参加しているのかなども確認したいところです。
そして、正しく現状を認識した上で「今後の対応をどうしていくか」を考えることが最も大切であることはいうまでもありません。
介護サービスの内容が正しくなければ、家族への負担はますます大きくなります。利用者自身の身体能力がますます低下してしまうおそれもあるでしょう。手遅れになる前にモニタリングをしっかりと実施し、ケアプランを随時修正することは、利用者のクオリティ・オブ・ライフを守るためにも欠かせないことなのです。
どのようにケアプランを最適化していくのか?
モニタリングを実施した上で、ケアプラン変更が本当に必要なのかどうか迷う局面もあります。たとえば、利用者が「歩けない」といっても、身体能力の明らかな低下は見られず「歩きたくない」という気持ちの問題というケースも少なくありません。
このような時「歩けないのは甘え」と、ケアプランの変更をしないというのが正解とも限りません。利用者が「歩けない」と訴える背後に隠れている心理的な問題にも迫る必要があります。たとえば「転んで寝たきりになるのが怖い」という恐怖心あるならば、家の中をバリアフリー化したり、ヘルパーによる「転んでケガをしたら大変!」といった声がけを少なくしたりといった対応が必要となるでしょう。
現在の介護サービスで何が問題となっているのかをモニタリングするのは大事です。しかし「何」だけではなく「なぜ」を突き止めることがケアプランの最適化には欠かせないといえるでしょう。
まとめ
「できるだけ地域で介護を」という国の方針もあり、今後、デイサービスを利用しながらの在宅介護がますます増えると予想されています。それだけに、どのようなケアプランで介護していくかがより重要になることは間違いありません。
しっかりとモニタリングを行い、ケアプランを定期的に修正することで、介護サービスの質を保つようにしていきましょう。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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