
【変形性関節症】介護保険対象となる特定疾病について
投稿日 2019/05/13
最終更新日 2019/07/09
介護保険制度は、介護を必要とする高齢者を社会全体で支えることを目的として作られました。老化が原因の疾患で介護が必要になると予想される、40 歳以上の人たちに加入が義務づけられているものです。加入者は65歳以上の「第1号被保険者」と40~64歳の「第2号被保険者」の2種類に分類され、それぞれで介護保険の適用要件が異なっています。
介護保険における特定疾病とは
第1号被保険者が要介護認定または要支援認定を受けた場合、認定の理由を問われることなく介護サービスを受けることができます。しかし、40~64歳と比較的若い第2号被保険者ケースでは、介護サービスを受ける前提条件があります。介護(要支援)の状態が、特定疾病にあてはまった場合にのみ、サービスの利用が認められるのです。
厚生労働省は、老化に起因する疾病を特定質病と定めています。介護保険法で規定された末期がんや関節リウマチなど16の疾病で介護や支援が必要となった場合に、介護サービスが受けられます。
介護保険で対象となる16の疾病(特定疾病) | |
---|---|
1.末期のがん | 9.脊柱管狭窄症 |
2.関節リウマチ | 10.早老症 |
3.筋萎縮性側索硬化症 | 11.多系統萎縮症 |
4.後縦靱帯骨化症 | 12.糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症 |
5.骨折を伴う骨粗鬆症 | 13.脳血管疾患 |
6.初老期における認知症 | 14.閉塞性動脈硬化症 |
7.進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病 | 15.慢性閉塞性肺疾患 |
8.脊髄小脳変性症 | 16変形性関節症(両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う) |
変形性関節症の症状や原因
16の特定疾病の中で、膝や足の付け根、ひじ、肩などの関節が痛んだり、腫れたりするのが変形性関節症です。関節には可動性があり、その表面にある軟骨がクッションのような役割を果たしています。人は関節の働きによって、日々のさまざまな負荷に耐えられるようになっているのです。
ところが加齢などの要因で関節が変形し、関節の表面にある軟骨がすり減ることで関節の動きが悪くなり、炎症や痛みにつながります。骨の変形は徐々にひどくなり、日常生活に支障が出てくることも考えられるのです。
加齢の他、遺伝的要素、肥満なども関節の変形要因だとされています。関節を酷使するスポーツや仕事、事故などでも関節は傷つくことがわかっています。女性の患者が多いことも特徴です。
治療法
症状がそこまで重篤でなければ、抗炎症剤やステロイド注射、理学療法などを用い、日々の関節痛を和らげる治療法が選択されます。膝の関節の場合は、足座板や装具療法を利用するケースも。痛みや変形が強い場合には、骨切り術(関節周辺の骨を切ることで関節の向きや角度を変えて負担減)や人工関節など外科的な処置を検討することになります。
日常生活での注意点
変形性関節症は、発症してから徐々に症状が進行する病気です。そのため、発症に気づいたらそれ以上症状が進まないように、手を打つ必要があります。日常生活において次のような点に気をつけるようにしましょう。
- 肥満気味の人は減量し、膝への負担を減らす
- 肩や腰、ひじ、膝などは冷やさない。血行促進のため温めるようにする
- クッション性を持つあるシューズ(運動靴)をはくようにする、中敷を入れる
- ステッキ・杖を利用する
- 同じ姿勢だけにならないようにする(体を適度に動かすこと。洋式トイレの使用、正座をしないようにするなどの配慮)
無理は禁物、できる範囲での筋力作りを
痛みを減らし、症状の進行を防ぐキーポイントは膝関節まわりの筋力作りにあります。日頃からストレッチをするなどして、関節の動きをやわらかくしておくことが大切です。
いすに座ったままの足の上げ下ろし、仰向けに足の上げ下ろしをするなど、簡単な運動で太ももや膝の筋肉を鍛えることが可能。またゆっくりスクワットをするだけでも、股関節や足全体の筋肉に効果をもたらします。
ただし、無理は禁物。ストレッチなどで膝などに違和感を覚えたら、すぐに中止することです。運動やトレーニングが逆効果となるケースもあるからです。痛みや違和感の原因はどこにあるのか、どういったトレーニングなら問題なく行えるのか、病気の進み具合を把握しておく必要があります。気になることがある場合は、すぐに医師に相談することをおすすめします。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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