
なぜ高齢者は口が乾きやすいのか?口腔乾燥に悩んでいる高齢者は多い!
投稿日 2019/01/08
最終更新日 2019/03/21
高齢になると口が乾きやすくなります。これは、寝たきりの人も元気に仕事をしている人でも変わりません。歳をとると唾液の分泌量が減ってきてしまうのです。
口が乾きやすいと聞くと、皆さんはどのような印象を受けますか?
実際に口が渇いた経験がないとわからない話で、どんな弊害が起きているのか想像もつかないと思います。
介護の現場ではもちろんですが、普段何気無く生活していても口の乾きが気になって困っている人が多いです。そこで、今回は口の渇きで悩んでいる方に向けて、原因と解決方法について紹介していきます。
唾液は加齢とともに少なくなる
まず、なぜ唾液の分泌量が減ってしまうのかを紹介していきます。
唾液は唾液腺と呼ばれる組織から分泌し、粘っこい唾液とサラサラした唾液の2種類あるのが特徴です。
歳をとると、中年太りしたという方がいますよね?
それと同じように唾液腺にも脂肪が付着していきます。脂肪が付着した唾液腺は、唾液の産生能力が落ちてしまい、結果的に唾液の分泌量が少なくなってしまうのです。
唾液は口の中をただ湿らせているわけではありません。
食べ物と混ざり合うことで、飲み込みやすくする働きがあります。
逆をいえば、唾液の分泌量が少なくなると、食べ物を飲み込みにくくなってしまうのです。
また、唾液の中には細菌の活動性を弱める成分が含まれており、これらが働かなくなることで、歯周病や虫歯の発症リスクが上がります。さらに、細菌が活発になると口臭として現れることもあるのです。
他にもある「口腔乾燥」の原因
高齢になることで唾液の分泌量が下がるほかにも、唾液が減少する原因があります。
薬の副作用
高齢者は多くの疾患や症状で悩んでいます。内科や整形外科・眼科など様々な診療科目から薬を処方されていることも珍しいことではありません。
その中でも、唾液の分泌量を下げてしまうのが「抗うつ薬」です。
高齢者の中には、不眠で悩んでいる方がいて、そういう人は抗うつ薬を飲んでいるケースが少なくありません。
ストレス
人間の身体には交感神経と副交感神経という2種類の神経があり、この2つを総じて「自律神経」といいます。
唾液は副交感神経が活発になると、分泌されるのですが、ストレスがかかると交感神経が優位に働くことが多いです。ストレスがかかってしまうと、副交感神経の働きが弱くなるため唾液の分泌量が減少してしまいます。
咀嚼回数の減少
食事の時間が短い人は、唾液の分泌量が少ないといわれています。これには咀嚼回数が関係していて、噛む回数が少ないと唾液の分泌量が減ってしまうのです。
咀嚼回数と唾液の分泌量は比例の関係をとるとも言い換えることができます。
口腔乾燥を予防するには?
では、実際に口腔乾燥を予防するためにはどのようなことをすれば良いでしょうか。
抗うつ薬を飲んでいる方は、主治医に相談してみるのも一つの手です。
また、咀嚼回数が少なくて唾液の分泌量が少なくなっている方はよく噛んで、時間をかけた食事を心がけるのも良いでしょう。それでも、口が渇いて仕方ないという方は、こまめな水分補給をするのもいいですね。
ここでは唾液腺に直接働きかける唾液腺マッサージを紹介します。唾液腺をマッサージして唾液の分泌量を増やしましょう。
唾液腺マッサージ
唾液腺は耳の下前部と顎の下にあります。その中でも耳下腺と呼ばれる、耳の下前部にある唾液腺をマッサージしましょう。
マッサージするときは指の平を使うようにします。絶対に強く押しすぎないでください。
マッサージといっても軽く押し撫でるイメージです。
耳たぶの下前部に手を置き、円を描くようにゆっくりとマッサージしていきます。
おおよそ1分程度で良いので左右均等に実施してみてください。
口腔乾燥を放置していると口の中は細菌だらけになる
唾液は飲み込みやすくするだけでなく、口腔内の細菌数を減少させる意味でも重要です。
口の中で細菌が増えれば、肺炎や口臭などの原因になりかねません。
食事を楽しむためにも、健康のためにも口腔乾燥のケアを実践してみてはいかがでしょうか。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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