
高齢の障害者に効果を示す?日常生活活動に影響を与えた口腔ケアを紹介
投稿日 2019/01/08
最終更新日 2019/05/29
日本人の平均寿命は年々増加の一途をたどっています。寿命は長くなっていますが、その一方で健康寿命という言葉が取り上げられているのを知っていますか?健康寿命とは、高齢者が誰の補助や介助も必要ない状態で自立して生活できる状態をさします。今回は日常生活を送る上で大切になる健康寿命の延長にも効果がある口腔ケアの方法を紹介していきます。
高齢者の障害とは?
今回のタイトルにもある高齢の障害者とはどのような状況を指すか説明していきます。生まれたときから障害が抱え、高齢になった人のことも高齢障害者と呼びます。他にも、中年以降に脳出血や脳梗塞など脳血管疾患を発症して麻痺が起きている人のことも高齢障害者と呼びます。
高齢障害者になると何が問題になるでしょう。一番は自立した生活がさらに難しくなるということです。介護が必要になるのはもちろんですが、障害がある部位は高齢化とともにより動かなくなります。脳血管疾患が原因で半側麻痺が起きている場合は、麻痺側の症状が強くなります。
高齢障害者の日常生活自立度
高齢で障害のある人が日常生活でどの程度自立しているか判定するために、地域や施設・保健師が現場で判定するための基準が選定されています。
生活自立 | ランクJ | 自力で外出できる |
準寝たきり | ランクA | 屋内の生活は問題ないが、介助がなければ排出できない |
寝たきり | ランクB | 屋内の生活で介助が必要。ベットの上で生活することが主 |
ランクC | 1日中ベットの上で生活。排泄や食事・着替えで介助が必須 |
以上の判定基準で高齢者の日常生活の自立度を判定します。この判定基準は、補助器具や自助器具を使用しても差し支えないこととなっています。
高齢障害者はひとくくりにできない反面、このように基準を設けることで介護レベルやどのようなサポート・援助が必要なのかを検討する材料にしています。
日常生活に与える歯科の影響
高齢の障害者へ歯科としてどのようなアプローチをしていくと、どのような影響が出るのでしょうか。歯科的なアプローチで代表的なのが口腔ケアです。口腔ケアを行うと虫歯や歯周病など口腔疾患の発症を抑制できます。虫歯ができなければ痛みを感じることは少ないですし、歯周病を予防できれば歯が抜けてしまうのを防げます。このように口腔ケアを行うと、口の健康に繋がり、自分自身の歯で食事をすることが可能になるのです。
高齢の障害者でも自分の口で食事をするという行為は重要です。口から食事をとると、腸内細菌のバランスを維持する働きがあります。腸内細菌は人間の免疫に大きく関わっていて、バランスが崩れてしまうと風邪を引きやすくなります。高齢になればなるほど、風邪から肺炎など呼吸器疾患を発症しやすくなるため、腸内細菌のバランスを保つ口からの摂食は重要です。
また、口から食事をとることはコミュニケーションにも繋がっています。家族や友人と食事をして、同じものを食べて会話をするという基本的なコミュニケーションは、障害の有無に関係なく人間の心を豊かにします。
たかが口腔ケアと言われればそれまでですが、このように高齢者の日常生活を豊かにすることにも繋がっているのです。
高齢者だからこそ口腔ケアを徹底する
高齢の障害者だから、胃から栄養を注入する胃ろうでも良いと思う人がいるかもしれません。しかし、高齢者だからこそ、口腔ケアをしっかり行う必要があると考えています。また、高齢の障害者は限られた生活スペースで過ごすため、生活の質が低下する傾向があります。何歳になっても、どのような状況になっても食事を口から取れて、身近な人と食事にいけるという環境を整えるだけで本人の満足度も上がるのではないでしょうか。みなさんのご家族でも障害を抱えている人がいたら、口腔ケアから始めてみてはいかがでしょうか。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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