
介護施設でも重要となるプライバシー!要介護者へどう配慮すればいい?
投稿日 2019/03/25
最終更新日 2019/06/04
介護施設でも重要となる個人情報やプライバシー。しかし、要介護者にはどのように配慮すればよいのでしょう?
- 病名や病歴
- 排泄
- 人間関係
介護にありがちな3つの場面から、注意点や配慮の方法をお伝えします。覚えておくと、内部で「どのようにするか」意識共有もできますし、状況下で「どうするか」判断に迷うことも減るでしょう。
病名や病歴
2015年に成立交付された改正個人情報保護法を見ると、病名や病歴は「要配慮個人情報」に該当します。要配慮個人情報とは、内容が漏れた際、内容のもととなる本人に大きな損害をもたらす可能性がある情報のこと。病名や病歴以外には、宗教や国籍、人種が該当します。
病名や病歴の制限はありません。言うなれば、対象は全ての病名なのです。さらに、受診の事実そのものも要配慮個人情報に含まれます。
個人情報とオプトアウト
個人情報は、取得する際本人に対して「何の目的でもって情報を取得するのか」説明しなくてはなりません。情報を第三者に提供する場合も、本人に確認を取らなくてはならないのです。
しかし特例として本人の同意を得ずに情報を提供できる場合も。それを「オプトアウト」と呼ぶのですが、要配慮個人情報はオプトアウトも不可能です。病名や病歴はそれほど厳重に守るべき情報といえるのですね。
信頼関係から考える
ここまで法律の観点から説明しました。しかしこれらについては、別の観点からも考えられます。それは相手との信頼関係。
仮に、個人情報が法律のもと厳重に守られていなかったとしましょう。だとしても、軽々しく故意に情報を漏らしては、
- 利用者との信頼関係
- 社会的な信用
を大きく失うと理解できます。病名や病歴は、丁寧にかつ誠実に扱うことを心掛けましょう。
排泄のこと
排泄時の介助についても配慮が必要です。しかし要介護者の状況によっては、
- 名前を呼ぶ
- とびらを開けたまま介助しなければならない
こともあるでしょう。
たとえば、
- 大声を出さないと要介護者が話を聞き取れない
- 一人で夜勤をしているため、何かあった際すぐ動けるようにしておく必要がある
- 危険が生じやすい状況のため、すぐ応援を呼べるようにしたい
という場面です。そういった点から考えると、完全に秘密とするのは難しいかもしれません。
「完全な配慮を心掛けるものの難しい部分もある」点を理解したうえで、「できるだけ気を付けながら臨機応変に対応する」ことが望ましいでしょう。
人間関係
- 要介護者にどんな家族がいるのか
- 要介護者の友人関係は?
こういった内容についてどのように配慮すればよいのでしょうか、状況別に説明します。
スタッフ同士での情報共有
スタッフ同士で情報共有する場合、ほとんど問題ありません。介護をするうえで必要な情報となるからです。また、このような情報を共有することでよりきめ細かな配慮につながります。
ただし話す場所は、スタッフしかいないところ、たとえば詰め所といったように他の要介護者に聞こえないところに限定してください。聞こえるところで話してしまうとトラブルになることもあります。
同じ要介護者(利用者)に聞かれた場合
これについては、
- 本人に聞いてください
- 分かりません
などと答えるのがよいでしょう。スタッフから勝手に話すのは御法度ですが、利用者同士の会話なら問題ありません。
ただ、場合によってはその「本人」に迷惑がかかることも。その本人が普段どのように周囲と人間関係を築いているのか、一度思い返してみましょう。
本人が明るく気さくで周りとよく話す場合、利用者同士での情報交換を促してもよいといえます。しかし本人が何らかの病気をもっていて、コミュニケーションが困難だったり他の入居者に意地悪な人がいたりする場合はトラブルになりかねません。
あらかじめスタッフ同士で、
- どのように答えるか
- どんな答え方がよいか
打ち合わせをしておくとよいでしょう。それによりスタッフ間で意識も共有できますし、何か起こっても素早く対応できます。
まとめ
- 病名や病歴
- 排泄
- 人間関係
と介護にありがちな3つの場面から、個人情報やプライバシーに対する配慮の方法をお伝えしました。
中でも気を付けたいのは病名や病歴。これは法律の観点だけでなく、信頼にもかかわるので、細心の注意を払わなくてはなりません。個人情報の正しい取り扱い方法については、研修を受けたり専門家から話を聞いたりといった機会を設けて共有するようにしましょう。しっかりとプライバシーに関する知識がつくことでスタッフ全体の意識が高まります。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
関連記事
- 高額介護合算療養費って何?分かりやすく解説
高齢者の介護費用、医療費用は、毎年のように制度の改正が行われ、本来保障されるべき負担額の上限が吊り上げられています。もともと収入源の少ない高齢者やその生活を支える家族にとっては、年々厳しさを増していま
詳しくみる - 介護施設にあったほうが良い医療サービス
介護施設が提供している医療サービスは、なにも医療行為に限定されたことではありません。万が一の時の医療機関との連携など、快適で安心した生活を送るために必要なサービスがたくさん用意されています。 しかし、
詳しくみる - 在宅医療に必要な費用とは?利用できる保険はどれ?
現在、介護もいろいろな形を選べるようになりました。「住み慣れた自宅で治療、療養させてあげたい」「病院に通うのが大変になので、在宅医療を考えている」というご家族も多いことでしょう。 しかし、病院での治療
詳しくみる - 介護施設での虐待はどれくらいの確率で発生する?
高齢化が進み、介護を受ける人の数も増え続けています。そして同じく表面化し、深刻な課題となっているのが高齢者虐待です。2006年4月に施行された高齢者虐待防止法(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する
詳しくみる - どんなに辛くても絶対避けるべき介護離職
在宅介護を何年も続けていると、仕事を辞めて介護に専念しようと考え始めるのも珍しくはありません。職場と自宅の往復で介護と仕事に明け暮れていると、心身ともに疲労が蓄積します。どちらかを手放して時間を取ろう
詳しくみる - 介護うつにならないためにしておくべき5つのこと
在宅介護をしていれば、どんな方でも常に「介護うつ」になる危険があります。うつ病を発症する方には性格的な特徴があるといいますが、介護うつに限っていえば、おそらくどのような性格であっても危険度に違いはあり
詳しくみる
あなたにおすすめの介護施設
エリアから探す
全国の介護施設を検索することができます。都道府県を選択してください。