
介護中施設に入ると散髪はどうすればいい?
投稿日 2019/01/30
最終更新日 2019/03/21
要介護者、介護家族の立場だと介護施設に入居して心配になるのが衛生面です。お風呂はあるかもしれませんが、それ以外のことも心配しなければなりません。問題のひとつに、散髪の問題があります。介護施設を自由に出入りできる人ならいいですが、認知症や病気などがあれば無理な話です。
髪の毛が伸びっ放しだと不衛生ですし、洗髪も大変な作業となります。おしゃれをしたい人も多いでしょう。そのようなことも踏まえ、介護施設に入ったとき、散髪はきちんとしてくれるのか心配になるのは当然です。家族も安心して介護施設に大切な人を任せられません。介護中の散髪について介護施設はきちんと対応してくれるのでしょうか?
散髪をするためには理美容免許が必要
介護士は散髪ができません。散髪を行うには国家資格である理美容免許が必要だからです。介護士の中には利用者や家族に頼まれた、家族の散髪をして慣れている理由でつい行ってしまう人もいます。介護士は介護士であり理容師でも美容師でもありません。
介護士は法律で決められた範囲の介護サービスしかできないのです。介護施設で介護士が利用者の散髪を行うと理美容法に抵触します。ただ「家族や友人の髪を切ったことがあるけれど、そうなると、理美容法に自分は違反しているのではないか?」と心配になる人もいるかもしれません。
散髪の場合、理美容免許がない人間が、家族や友達の髪を『業』として切らなければ法律違反にはならないとされています。『業として』とは、反復継続の意思を持って行うかどうかがポイントです。繰り返しお金をもらうために不特定多数の人の散髪をしていれば業として行っていると見なされる可能性もあるので注意しましょう。どちらにしても介護士が散髪をすることは認められていません。
美容介護士って?
美容介護士(福祉美容師)が増えているという話もあります。美容介護士とは、理容師や美容師の国家資格を持っていることが大前提です。その上で、別資格として『福祉美容師』や『認定福祉美容介護士』を受験して合格しなければなりません。
理美容師でなければ、受験資格も与えられないのです。『認証NPO法人日本理美容福祉協会』が福祉美容師、『特定非営利活動法人医療福祉情報実務能力協会』が認定福祉美容介護助師を主催しています。このような資格を持っていると、理美容師としての幅が広がるためメリットであり個人としても強みとなるのです。
介助知識を含め、寝たきりの人の髪をシャンプーしたりカットしたりする技法を習得しています。利用する介護施設に福祉美容師や認定福祉美容介護助師の資格を持っている人間がたずさわっているなら、利用者本人も家族も散髪に関して安心できるでしょう。
出張サービスも提供されている
福祉美容師や認定福祉美容介護助師が介護施設まで出張するサービスもあります。個々別の契約内容によりますが、決まった日時に訪問し、カット、パーマ、カラーを行うのが一般的です。専用のトラックで来て、散髪を行う所もあります。介護施設だけではなく、病院なども含めて出張サービスを提供しているお店もあるようです。
介護施設や病院にしか出張できないわけでもありません。自宅で介護をしている場合、家族の要望で出張に応じてくれるお店もあります。家族が散髪をするのは理美容師法のことも考えなければならないですが、はさみやカミソリで要介護者を傷つけるリスクも0ではありません。
理美容師免許を持っていなければ、要介護者が希望するヘアスタイルを作ることも困難です。介護者だけでなく外出できない妊婦の利用者もいます。福祉美容師や認定福祉美容介護助師が活躍できる現場は日常の中にたくさんあるのです。
まとめ
介護する中で散髪の問題は無視できません。自分が介護施設に入居する場合も、見た目はきちんとしたい、おしゃれを楽しみたい人も多いでしょう。家族も大切な人が散髪もしてもらえないなら、心配になるのも当然です。ただ、介護の知識や要介護者の髪を切るなどの特殊な技能を持つ、福祉美容師や認定福祉美容介護助師も増え始めました。
自宅で介護中のご家庭にも出張してくれるお店も多いです。多くの介護施設では定期的に理美容師の出張も受け入れているため安心してください。ただ、入居前に散髪などどう対応しているのかきちんと介護施設側に聞いておくことは大切です。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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