
高齢者はカルシウムが不足するとどうなるのか?
投稿日 2019/04/10
最終更新日 2019/04/25
人間の血液には微量のカルシウムが含まれていますが、出血を止めたり、神経や筋肉を制御したりするのに欠かせない栄養素です。この血中カルシウム濃度が低下した場合、骨からカルシウムが溶け出して補うようになっています。
とくに50代以上の男性、閉経後の女性は血中カルシウム濃度が低下しやすくなっているため、日常的にきちんと補給していく必要があります。高齢者にとってカルシウム不足はどんな問題を引き起こす可能性があるのか、また、どのように摂取したらいいのか詳しく解説しましょう。
カルシウムが不足するとどうなる?
カルシウムは人間の体で最も多く含まれているミネラルです。たとえば、体重50kgの成人ならば1kg程度はカルシウムになる計算ですが、そのほとんどが骨に蓄えられています。つまり、骨は「カルシウムの貯蔵庫」でもあるのです。
年齢を重ねるほど「カルシウムの貯蔵庫」からカルシウムを持ち出す機会も増えるといわれています。そのため骨粗鬆症が進行してケガもしやすくなりますが、骨折から寝たきりになり、さらに認知症などになってしまう高齢者もいるのでくれぐれも注意が必要です。
その他、神経や筋肉が過度に緊張して、てんかん(全身の痙攣)、テタニー(筋肉の痙攣)などを引き起こすこともあります。かといって、カルシウムの過剰摂取もカルシウム血症、泌尿器系結石、便秘などの原因になるので、適量を摂取するように心がけたいところです。
カルシウムを多く含む食品は?
カルシウムは牛乳、ヨーグルト、小魚、改装、豆類、野菜などに多く含まれています。しかし、カルシウムを多く含む食品の中は同時にカルシウムの吸収を阻害するような成分を含有していることもあるので要注意です。たとえば、ほうれん草のシュウ酸、豆類のフィチン酸などはカルシウム吸収しにくくします。
一方、牛乳にはカルシウムの吸収を促進させるクエン酸、ビタミンD、カゼイン、ホスホ、ペプチドなどが含まれています。高齢者が効率良くカルシウムを摂取するには牛乳や乳製品を活用するといいでしょう。
高脂血症などで脂質をひかえたいならば低脂肪乳がおすすめです。また、まれに「牛乳を飲むとお腹を壊してしまう」というお年寄りもいますが、ヨーグルトやチーズを食事やおやつに取り入れるようするのもひとつの方法です。
高齢者のカルシウム補給におすすめの調理法
魚は骨まで食べることでよりたくさんのカルシウムをとることができます。圧力鍋でやわらかく煮れば高齢者でも食べやすいでしょう。また、骨をやわらかくしながらカルシウムの吸収を促進する酢を使うのもおすすめです。
カルシウムの吸収を促進するビタミンDは干ししいたけなどのきのこ類に多く含まれています。調理前、2~3時間紫外線に当てるだけでビタミンDの含有量を増やすことができるというのはご存知でしたか?日当たりの良いキッチンならば、窓辺に置くだけでもOKです。ぜひ試してみてください。
カルシウムを補給したい時にひかえるべき食品
カルシウムを多く含む食品がある一方で、カルシウムの吸収の妨げになる食品もあります。たとえば、清涼飲料水、インスタント食品、加工食品などに使われている保存料はリン酸塩を含み、カルシウムの体外排出を促進するので要注意です。
同様にカルシウムの体外排出を促すものとしては、コーヒー、アルコール、塩分、食物繊維などがあります。とくに食物繊維などは便秘予防のために積極的に摂取することも大事ですが、とりすぎにも気をつけるようにしましょう。
まとめ
高齢になると軽く転倒しただけで骨折することも少なくありません。骨折予防には日頃から骨密度を上げておくことがポイントです。そのためにもカルシウム不足になっていないかどうか、毎日の献立を見直してみましょう。
とくに、冷凍食品を使うことが多いと、保存料によってカルシウムの吸収が妨げられるリスクがあります。最近は高齢者向けの食事宅配サービスも増えていますが、冷凍食品を使っているようなことはないか必ずチェックするようにしてください。カルシウムをコツコツとって、健康寿命を伸ばしましょう!
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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