
親が認知症になったら実家はどうする?不動産売却すべき?
投稿日 2019/04/25
最終更新日 2019/06/11
親が認知症になったとき、実家をどうするか悩む人も多いでしょう。そのまま実家に住むとなれば問題ありませんが、施設や専門住宅に住むとなると、売却が必要となることも。しかし不動産売却は、とても手間がかかるのです。
- 親が認知症になった際まず考えること
- 売却となった際に行うことや知っておきたいこと
を見ていきましょう。
まず認知症になった親がどこに住むか、そこから生じる問題を考える
最初に、「認知症になった親がどこに住むか」と「それにより生じる問題」を考えます。実家に住んだ場合、お金や薬の管理、火の始末などが問題となるでしょう。
お金に関しては、詐欺に合う可能性を考慮しなくてはなりません。昨今問題となるアポ電詐欺もその一つ。アポ電詐欺は、強盗につながり身の危険を感じる可能性も高いです。薬の問題は、飲むべき薬を飲まなかったり、飲み過ぎてしまったりすることが考えられるでしょう。
最も気を付けたいのは火の始末。消し忘れによって鍋を焦がすだけで済めばよいですが、火が体に燃え移ったり、家が燃えてしまったりしては大変です。家族とヘルパーさんが結託し、一人にしないよう気を付ける必要があるでしょう。ただし実家の場合、住み慣れた家という点から、落ち着きやすいというメリットがあります。
続いては施設や高齢者専門の住宅に住む場合です。施設を利用するには、まとまった資金や継続的な資金が必要となります。ただし施設や専門住宅には、スタッフが存在します。見てくれる人が多いため不安は減るといえますね。
まずは「どちらに住むか」と「そこから生じる問題」を考えましょう。
もし売却となったら?成年後見制度を利用する
もし、施設や専門住宅に住むこととなり、かつ家族も別に住んでいるとなると、実家を売却する方向に話が進むでしょう。しかし、親が認知症の場合、成年後見制度の利用が必要です。
成年後見制度は、認知症の親、つまり被後見人の状態に応じて変わります。
- 後見類型:被後見人に判断力が全くない、日常のほとんどにおいて取り消しができる、不動産を売買する際は家庭裁判所の許可を要する
- 補佐類型:被後見人の判断力は一部ないと考えられる
- 補助類型:判断力が微妙
成年後見制度ができたのは2000年。認知症だけでなく精神障害や知的障害といった判断が難しい人のために設けられました。判断が難しい人の場合、その状況につけこんで、財産を不当に奪おうとする人が現れます。そうした人から財産を守るために設立されたのです。
ただし、成年後見制度を利用するには手間がかかります。家庭裁判所へ申し立てを行ったあと、家庭裁判所側にて後見人の選定や審理を実施。最終的に後見人として認められるまでの期間は3~4カ月ほどとされているのです。
自宅を売却するとなっても手続きが多い
また、成年後見制度を利用して自宅を売却するとなっても、手続きが多く時間がかかります。実家を売却するには家庭裁判所の許可が必要になるのですが、その際1~2週間ほどかかるのです。
さらに、
- 業者による複数の査定書
- 売買契約書
- 謄本
- 固定資産評価証明書
- 収入印紙800円
- 切手代
などたくさんの書類を添付しなくてはなりません。それにくわえて「被後見人にとってその処分は必要なのか」という観点から家庭裁判所がチェックをします。つまり、後見人の考えに沿って勝手に売買を行うことはできないのです。
これら手続きにくわえて、買い手を見つける手間もあります。
- 相場より安すぎることのない適正な買い手を見つける
- 複数の業者から査定の結果をもらう
こうした手間も生じてくるのです。
まとめ
親が認知症になった場合は、まずそのまま実家に住むか、施設や専門住宅に住むか考えましょう。そして、その際に生じる問題を一緒に考慮してください。
もし実家を売却するとなったら、成年後見制度の利用が必要と考えられます。ただし、その手続きは複雑ですし、さらに売却を進めるとなると不動産業者とのやりとりも生じるでしょう。
このように、売却となるととても手間がかかるのです。一人で抱え込まず、専門家や他親族の協力を仰ぐのがよいでしょう。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
関連記事
- 高額介護合算療養費って何?分かりやすく解説
高齢者の介護費用、医療費用は、毎年のように制度の改正が行われ、本来保障されるべき負担額の上限が吊り上げられています。もともと収入源の少ない高齢者やその生活を支える家族にとっては、年々厳しさを増していま
詳しくみる - 介護施設にあったほうが良い医療サービス
介護施設が提供している医療サービスは、なにも医療行為に限定されたことではありません。万が一の時の医療機関との連携など、快適で安心した生活を送るために必要なサービスがたくさん用意されています。 しかし、
詳しくみる - 在宅医療に必要な費用とは?利用できる保険はどれ?
現在、介護もいろいろな形を選べるようになりました。「住み慣れた自宅で治療、療養させてあげたい」「病院に通うのが大変になので、在宅医療を考えている」というご家族も多いことでしょう。 しかし、病院での治療
詳しくみる - 介護施設での虐待はどれくらいの確率で発生する?
高齢化が進み、介護を受ける人の数も増え続けています。そして同じく表面化し、深刻な課題となっているのが高齢者虐待です。2006年4月に施行された高齢者虐待防止法(高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する
詳しくみる - どんなに辛くても絶対避けるべき介護離職
在宅介護を何年も続けていると、仕事を辞めて介護に専念しようと考え始めるのも珍しくはありません。職場と自宅の往復で介護と仕事に明け暮れていると、心身ともに疲労が蓄積します。どちらかを手放して時間を取ろう
詳しくみる - 介護うつにならないためにしておくべき5つのこと
在宅介護をしていれば、どんな方でも常に「介護うつ」になる危険があります。うつ病を発症する方には性格的な特徴があるといいますが、介護うつに限っていえば、おそらくどのような性格であっても危険度に違いはあり
詳しくみる
あなたにおすすめの介護施設
エリアから探す
全国の介護施設を検索することができます。都道府県を選択してください。