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介護問題は、日本という国が抱える大きな問題の一つです。少子高齢化社会が進行し、社会保障制度の破綻や国・地方の財源圧迫という形で表面化しつつあります。「団塊の世代」が後期高齢者(75歳以上)となり、人口の約5人に1人が後期高齢になると予測されている2025年はもう目前。そこで今回は、自分の家族を誰がどう介護するのか等をはじめとして、私たちの日常に関わってくる「5つの問題」についてクローズアップします。

介護が受けられずにさまよう介護難民

身体機能が衰え、日常生活を営むことができなくなった際に受けるのが要介護者認定です。つまり要介護者とは、介護が必要な状態であると認められた状態にあるわけです。しかし、要介護者であるのに、病院や施設に入所できない、さらには家でも相応な介護サービスが受けられない「介護難民」が年々増えています。

介護難民が増える理由はいくつかありますが、高齢者の増加がその大きな原因の一つです。厚生労働省(厚労省)によると、日本の総人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は現在、27.7%。日本の人口は減り続けているのに、高齢化はどんどん進んでいる現状があります。

このため、要支援・要介護認定を受ける人の数も増える一方。ところが、介護をする介護士の数は不足しています。人材不足に加え、介護施設そのものの数も足りていません。特に都市部では、高齢化のスピードが早まるといわれています。行き場をなくした要介護認定者は今後も増えていく見込みです。

高齢者世帯の増加で急増する老老介護

厚労省の国民生活基礎調査(平成29年)の調査では、65歳以上の世帯構造は、夫婦のみが32.5%で最も多く、次いで単独世帯26.4%、19.9%と続きます。高齢者だけの世帯や核家族化が多くなる中、高齢者を介護するのも高齢者。つまり、老老介護は珍しいことではなくなってきています。

老老介護において、認知症の介護者が介護する状態は認認介護と呼ばれます。そもそも、介護が必要になった大きな理由として挙げられるのが認知症です。軽度の認知症も含め、高齢世帯の夫婦が共に認知症であるのは、そう特別なことではないのです。

介護をする人が高齢な場合、さまざまなリスクが伴います。体力が衰えている上、介護の負担で精神的にも参ってしまい、介護する側とされる側の共倒れも考えられます。また、食事や服薬の管理、また、緊急事態などへのとっさの判断力など、高齢者には対応が難しいケースも予想され、高齢世帯が孤立しないような対策が必要です。

やむを得ず介護離職を選ぶ人が増えている

少子高齢化、核家族化が進み、介護の担い手が減り続けていることはお話してきました。家族の介護に専念するため、会社を退職する介護離職を考える人も増加しています。フルタイムで働きながら、介護と仕事の両立は難しいものです。また、親と離れて都会の遠隔地で暮らしていた場合、実家など親元に戻る必要が生じます。やはり仕事を辞めざるを得ません。

国も介護費用を抑えるため、在宅介護を推進しはじめています。介護と仕事の両立に苦しむよりは、大切な家族を看取ったほうがいいのでは?という思いにかられるケースも。しかし、収入も激減し、介護が終わった後に残るのは無職という現実があります。。介護者は40~50代が多く、再就職もままならないケースが多いのです。

企業側も介護と仕事を両立していくための福利厚生制度を整え、介護離職者を減らす方策を打ち出してはいます。とはいえ、制度を利用することに後ろめたさを感じ、離職を決意する人も少なくないのです。「親は子供が看るもの」という日本的な価値観が依然として強く残り、介護者本人を苦しめる原因にも。社会全体で取り組みが求められる課題です。

高齢者虐待の背景とは

このところ、ニュースなどで耳にする高齢者虐待。介護が必要な高齢者の人権を軽んじ、身体面や精神面で侵害する行為のこと。介護施設の職員が入居者に暴力をふるったり、侮辱したりと聞くに絶えない内容です。介護の担い手が不足する中、施設では慢性的な人材不足に陥っています。一人の職員にかかる負担も増大。結果的に、職員は心身共に疲れ、ストレスを抱えることに。

人手不足解消のため、経験の少ない若手が重用されることも背景にあるでしょう。スキルが乏しい職員が、いきなり介護の現場で働くことになり戸惑い、悩むことも少なくありません。

施設だけでなく、介護する家族が虐待をしてしまうケースもあります。親の介護に集中するため、会社も辞めざるを得なくなって孤独になる子供世代。介護のストレスがたまって、つい寝たきりの親に暴力をふるってしまうという例も報告されています。また、家事そのものに不慣れな男性が介護を担うことが虐待の引き金となる場合も。介護が長期化する場合は、特に注意が必要になります。

リスクが多い高齢者の一人暮らし

配偶者に先立たれ、子供も遠くに住んでいる高齢者。独居による問題点は、認知症と孤独死です。誰とも会話することなく日々を過ごす高齢者は少なくありません。人とのコミュニケーションが乏しくなった結果、どんどん孤独になっていきます。急に具合が悪くなり、誰にも気づかれずに亡くなってしまうことも。そして近所づきあいが希薄なため、長い間死にも気づいてもらえないという悲しい現実があります。他人と関わることが少なくなり、うつ症状に進む結果にもつながります。

同居人がいると、早期に病気や認知症などのサインをキャッチできるでしょう。しかし一人暮らしでは初期の症状に気づくことなく、すでに症状が進んでいるケースが多いのです。金銭管理や掃除ができなくなったり、認知機能の低下によりガスを消し忘れたり……。犯罪に巻き込まれる場合もあります。

誰もが直面する問題

介護される側の問題、介護される側の問題、各々の立場で取り組むべき課題、改善点がまだまだあります。今回ご紹介した5つの問題は、私たち一人ひとりが自分のこととして考えるべき事柄でもあります。現状をしっかり理解し整理した上で、目を背けずにひとつひとつ解決の道を探っていきましょう。

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田中 晴基

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