
認知症の原因とは?予防する方法はあるの?
認知症とは特定の病気の名称ではありません。脳に影響を与える色々な疾病によって生じたさまざまな症状を総称する言葉であり、認知症が起こることで日常生活や人間関係などに支障をきたします。つまり認知症には原因となる病気があり、その病気によって認知症にもさまざまな種類があるのです。ここでは認知症の種類や原因、予防方法などをまとめていきましょう。
認知症の種類と原因
認知症と聞いて真っ先に思いつくのは「アルツハイマー型認知症」でしょう。日本においては「アルツハイマー型認知症」「血管性認知症」「レビー小体型認知症」が三大認知症で、その中でも6割を占めるのがアルツハイマー型認知症です。
認知症には「根本的な治療が困難な認知症」として
- アルツハイマー型認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭型認知症
「予防や治療が可能な認知症」として
- 脳血管性認知症
- 正常圧水頭症
- 慢性硬膜下血腫
- 甲状腺機能低下症
があります。それぞれの認知症の特徴をまとめてみましょう。
アルツハイマー型認知症
脳にアミロイドβやタウタンパクと呼ばれるタンパク質がたまることで、神経細胞が減少し、脳全体の委縮が起こる認知症です。症状は緩やかに進行するのが特徴で、記憶障害が起こり、日付や曜日が分からなくなり、仕事や生活に支障が出てきます。初期には体はよく動くものの、大脳の機能が弱くなると寝たきりになってしまうでしょう。
レビー小体型認知症
1996年に診断基準が確立された認知症。レビー小体と呼ばれる特殊なタンパク質のかたまりが脳にできることで引き起こされる認知症です。調子のよい時と悪い時の差が大きく、症状としては幻覚、人物誤認、転びやすい、動作が鈍いなどがあります。また手の震えや小刻み歩行、手足のこわばりなどパーキンソン病のような症状が起こる場合もあるでしょう。
前頭側頭型認知症
前頭葉と側頭葉の萎縮によって起こる認知症です。65歳未満の若年層での発症が多く、同じ行動を繰り返す、自分勝手な行動をとる(社会のルールに合わせられない)、言葉の意味が分からなくなるなどの症状が起こります。
脳血管性認知症
脳の血管につまりや出血が生じて脳細胞が死滅することによって引き起こされる認知症です。認知症の1/4以上を占めており、アルツハイマー型との混合型もあります。原因となる病気は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの脳卒中で、脳卒中の再発予防によって進行は抑えられるでしょう。症状は出たり消えたりする場合が多く、物忘れなどの他に、手足の震えや麻痺など運動障害が特徴的です。
正常圧水頭症
正常圧水頭症は脳脊髄液が脳室にたまって、脳組織を圧迫する病気です。認知症、歩行障害、失禁などの症状が起こります。髄液シャント手術を受ければ、症状は改善するでしょう。
慢性硬膜下血腫
頭を強く打った後に、頭蓋骨と脳の間に血腫ができて、血腫が脳を圧迫する病気です。頭を打った後、3週間~3ヶ月後に症状が現れる場合が多く、認知症や運動麻痺などが現れます。血腫を取り除く吸引手術を受ければ、症状は改善するでしょう。
甲状腺機能低下症
甲状腺機能低下症は全身の倦怠感、気力の低下、体のむくみなどに加えて、もの忘れ、居眠りなどの認知症症状が起こります。新陳代謝を高める作用がある甲状腺ホルモンの分泌が不足することで、活動力が低下する病気です。甲状腺ホルモン製剤の服用で、症状は劇的に改善します。
認知症の初期症状とは?
認知症の症状といえば、もの忘れや徘徊などをイメージする方が多いでしょう。認知症の症状にはさまざまなものがあり、初期症状をすばやく発見して適切な治療をしていくことが重要です。
初期症状は認知症の種類によっても異なりますが、もの忘れから始まり、理解力・判断速度の低下、集中力・作業能力の低下が起こる場合もあります。
認知症の症状発見のきっかけ例はこちらです。
もの忘れ
- 曜日や日時が分からなくなる
- 料理の味付けが分からなくなる
- 同じ話を繰り返す
- 約束を守れなくなる
- 鍵や財布を無くす
- 同じものを何度も買う
理解力・判断速度の低下
- 買い物の支払い計算ができなくなる(お札で払う)
- 会話速度についていけなくなる
集中力・作業能力の低下
- テレビドラマのあらすじが分からなくなる
- 読書好きの人は本を読まなくなる
- 家事を途中で放棄する
認知症の予防方法とは?
認知症の直接的な原因となる、脳の萎縮、血管の詰まり、代謝の変化などは、ちょっとした日頃の心がけで予防することは可能です。今、私達ができる認知症予防についてまとめてみます。
認知症予防の10か条はこちらです。
1 生活習慣病の予防
高血圧、糖尿病、肥満などは血流不足、脳の機能低下につながるので生活習慣病にならないようにします。
バランスのよい食生活を心がける
体の老化を引き起こす活性酸素を除去するビタミンCや、脳梗塞予防に効果的な魚などをバランスよく摂取します。
3 よく歩き、運動をする
歩くことで動脈硬化、循環器系の機能低下を改善できます。また筋力アップで転倒防止にもつながるでしょう。
4 過度の飲酒、喫煙に気を付ける
アルコール依存症からのアルコール性認知症予防につながります。
5 活動、思考を短調にしないようにする
趣味や学習などは脳のよい刺激になります。
6 生きがいをもつ
生活にハリを持たせて、前向きな気持ちでいることが脳の刺激につながります。
7 人間関係を円滑にしておく
人間関係が悪化すると、引きこもりやうつなどの精神症状を引き起こしやすくなります。
8 健康管理は自分で行う
定期的に健康診断を受けて、自分の健康は自分で管理するようにします。
9 病気や障害の予防、治療に努める
病気の治療は早めに行います。
10 寝たきりにならないように心がける
寝たきりは認知症の症状を進行させてしまいます。寝たきりにならないように、杖や押し車などを使うことも考えます。
まとめ
認知症と一言で言っても、さまざまな種類の認知症があります。また、認知症の症状は多岐にわたり、個人によっても発現症状は異なるでしょう。「100人いれば、100通りの認知症がある」と言われるほどです。
初期の認知症症状に、家族など周りが早めに気付き、適切な支援を受けながら症状とうまく付き合っていくのが理想的でしょう。さらに、認知症にならないようにするために、普段から健康管理をしっかりとして予防していくことも重要になります。
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