
認知症の親を介護する人に知ってほしい!在宅介護の限界点と防ぎ方
投稿日 2019/05/06
最終更新日 2019/06/11
介護者の多くが感じる「限界点」とは一体何でしょう。
実は、介護者の多くが、
- 精神
- 時間
- 肉体
といったあらゆる点からストレスや限界を感じていますが、我慢を続けてしまう方が多いと思います。しかし、介護者、被介護者が共倒れにならないためにも限界を防ぐ方法について知っておくべきです。在宅介護における限界点の実情とそれを防ぐ方法についてお伝えします。
介護者の7割ほどが限界を感じている
2016年に毎日新聞が行った調査によると、家族介護者の7割ほどがさまざまな点から介護に限界を感じたと答えています。その多くは、睡眠に関するもので、不眠症や睡眠不足などがあげられました。
認知症による徘徊、夜の排泄に備えて、夜間に起きなければなりません。そのため、不眠症や睡眠不足に陥りやすいのです。
その他の負担
また別の調査(複数回答可)によれば、
- 精神的な負担 74.3%
- 時間の負担 62.5%
- 肉体的な負担 53.3%
という回答が見られました。多くの人が、さまざまな部分から負担を感じていると分かります。
精神的な負担
勤務する仕事の場合、勤務日と休日とに分かれていますよね。しかし、介護の場合そうした明確な区切りはありません。つまり、24時間絶え間なく介護が続くこととなって、休むことがなかなかできなくなり、精神的な負担が増えてしまうのです。
また、「同じことを繰り返す」症状が生じている場合、何度も返事をしなくてはなりません。それにより、「またか」ということが増え、つらくなってしまうのです。
時間の負担
寝ているとき以外は自分の時間がないことも多々、といわれています。介護区分にもよりますが、重度区分になると目を離すことができません。それにより、つねに時間を拘束される状態になってしまうのです。
また、仕事をしていても、介護のため急な休みを取ったり早退したりしなくてはならない場面も増えます。介護者は自分の時間どころか、生活や仕事をする時間もままならなくなってしまうのですね。
肉体的な負担
介護は体力を必要とします。子どもと違い、大人ともなれば体重があるからです。そうした体重のある大人を支えようとすることで、介護する側にも肉体的な疲労がたまります。
特に多いのは腰痛でしょう。介護する人の多くが、腰痛の悩みを抱えているとされます。それだけでなく、腕の痛みや慢性的な疲労となることも。中には介護疲れで倒れてしまい、寝込んだり入院したりする人も存在します。
限界点を防ぐには
こうした限界点を防ぐには、どうしたらよいのでしょう。
まず、ヘルパーやケアマネージャー、同じように介護をしている人と交流を持つことです。情報を共有することで、介護時の工夫を知ることができます。
また、悩みもできるだけシェアしましょう。話すことで楽になるのはもちろん、
- 自分ひとりだけじゃない
- こういう乗り越え方がある
と視野も広がります。
それから施設やサービスの利用、ヘルパーさんの活用も視野にいれてください。在宅介護の場合、介護する側が一人ですべてをまかなう場面が多いです。それを続けることで負担はより一層高まるでしょう。
しかし、施設やサービスを利用すればその分の時間や余裕が確保できます。その際心身を休ませるようにすれば、疲労から倒れてしまうことも防げるでしょう。また、サービスや施設にはスタッフといった介護のプロが存在するため、安心して預けられます。
まとめ
介護者の多くが限界を感じた経験を持ちます。それを防ぐには、サービスや施設の利用、ヘルパーさんの活用が有効です。サービスの利用は、「自分は介護に手を抜いている?」と心配になるかもしれませんがそういった思いは不必要です。
サービスや施設、そしてヘルパーさんは、介護者だけではできないことを実施してくれますし、それによって介護者の負担はぐっと減ります。もし介護者の知り合いが増えれば、お互いの悩みをシェアして、楽になることも増えるでしょう。
無理をして介護者が倒れてしまっては元も子もありません。限界点とその防ぎ方を知って、介護者と被介護者、どちらも幸せになる介護を努めましょう。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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