老人ホーム入居前に住所変更の手続きは必要なのか?
投稿日 2019/05/21
最終更新日 2019/05/21
介護施設に入居するにあたって、やっておきたいことの一つに住所変更があります。介護施設入居後も自宅を残す場合も住所変更をすることが一般的です。しかし、住所を変更することによってデメリットがあることもあります。また、特例を使用すれば入居後も住所変更の手続きをしなくて良い場合もあります。
今回は、老人ホームと住所変更手続きに関して詳しく解説していきたいと思います。
老人ホーム入所後は住所変更の手続きをする必要がある
一般的に住所とは、住民票がある場所でなくてはなりません。ですので、金融機関の登録情報や運転免許証のような公的な証明証は住民票を根拠として登録されていますね。当然郵便物なども登録している住所に届きます。しかし、老人ホームに入居することになると、自宅の郵便物を本人が直接受け取ることができなくなってしまいます。
このため、老人ホームに入居する前に住所変更の手続きをしておくことが一般的なのです。
ただし、介護保険は地域によって保険料が異なることもあります。このような場合、住所を変更することで損をすることになってしまいますね。また、国の制度面から見ても、老人ホームが多くある地域の介護保険料が高くなってしまうという不均衡が生まれてしまいます。こうした財政上の理由も相まって、住所地特例制度というものが設けられるようになりました。
住所地特例制度とは
住所地特例制度とは、要介護者本人が現在住んでいる地域とは別の地域の介護施設に入居する場合に今の地域と同じ保険料で介護施設に入居することができる制度のことです。
住所地特例の対象者は以下の3パターンです。
- 要介護認定を受けている人
- 住所地特例対象施設に入居した人
また、住所地特例対象の施設は、以下の通りです。
- 介護療養型医療施設
- 介護老人保健施設(老人保健施設)
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 養護老人ホーム
- 軽費老人ホーム
- 有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
このうちサービス付き高齢者向け住宅は特定施設入居者生活介護の指定を受ける住宅でなければ住所地特例の対象とはみなされません。
住所地変更特例の手続き方法
住所地変更特例の具体的な手続きの方法については、各自治体のホームページなどで記載されていますが、ここでは簡単な流れについてご紹介しておきます。
1. 住所地特例適用届を現住所の役場に提出
住所地特例適用届は、各自治体の役場で受け取るか、各自治体のHPからダウンロードしてください。
2. 入所する施設へ住所地特例適用届を提出した旨を報告
住所地特例の手続きは、現住所の市区町村、施設がある地域の市区町村、介護施設、本人の4者のやり取りが必要になります。このため、介護施設も入居者の現住所と次の住所の役場に届け出を提出する必要があるのです。
このため、念の為介護施設に依頼するようにしておきましょう。
3. 入転居
上記の手続きが終われば無事に住所地特例を適用させながら介護施設に住所を移すことが可能になります。
介護施設に住所を移したくない場合
さて、上記のような特例があるとはいえ、住所変更をしたくないという方もいらっしゃるかもしれません。確かに自宅がある場合は無理に住所を変更する必要はありません。住民票を自宅に置いておいても法律的な問題もありません。
ただし、冒頭でもご紹介した通り、基本的に様々な郵送物は住民票に登録されている住所に届くことになります。特に公的な書類は全て住民票があるところに届くことになります。
このため、郵便物などは転送サービスを利用するようにしておくと良いでしょう。郵便の転送手続きはインターネットから行うこともできるので、詳しくは郵便局のHPを確認してみてください。
まとめ
住所は基本的に住民票がある場所、そして現在住んでいる場所で登録しておいたほうが良いでしょう。このため、介護施設に入居するときには住所変更の手続きと、必要であれば住所地特例の届け出を行うようにしておきましょう。
仮に住所を変更しない場合には、郵送物を転送するサービスを利用するなどしておき、確実に本人が郵送物を受け取れるようにしておくと良いでしょう。
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
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