
高額介護合算療養費って何?分かりやすく解説
高齢者の介護費用、医療費用は、毎年のように制度の改正が行われ、本来保障されるべき負担額の上限が吊り上げられています。もともと収入源の少ない高齢者やその生活を支える家族にとっては、年々厳しさを増しています。
「高額療養費制度」や「高額介護サービス費制度」を上手く活用し、毎月の出費を抑えている方も多いとは思います。それでもなお重い負担が圧し掛かるという方も少なくないでしょう。今回は、そんな方に朗報な「高額介護合算療養費」について紹介していきましょう。
「高額介護合算療養費」とは
毎月かかる医療費が決められた上限を上回った場合に支給される「高額療養費制度」を活用している方も多いと思います。これは、月々の介護費用が上限に達した場合、その上回った額を支給してくれます。
しかし、この制度の上限額も平成29年度に大きく引き上げられることになりました。「高額療養費制度」では、課税所得が145万円未満の方の外来費用も12,000円までだった上限が、14,000円に変更されています。
また、介護費を軽減させる目的の「高額介護サービス費制度」では、世帯の中の誰かが市区町村税を課税されている場合の上限だった37,200円が44,400円に改められました。
こうしたことでかかってくる重い負担を軽減するために、設けられた制度が「高額介護合算療養費」です。毎年8月から1年間、かかった医療費と介護費の年間合計額が、同一世帯医療保険者の所得区分に応じた限度額を超える場合、申請することによりその超えた分の金額を支給してもらえます。そのため、月々の制度で補えない負担額を少しだけ軽減させることができます。
「高額介護合算療養費」の条件
- 医療保険制度(国保・後期高齢者・健保)の世帯で、介護保険の受給者がいる場合。
- 高額療養費の対象となる世帯で、医療保険と介護保険の自己負担額の合計額が限度額より500円を超える場合
申請の対象
毎年8月1日分から翌年の7月31日分となります。1年間の合計金額で算出することができます。
対象となるもの
月単位で軽減を受けることのできる「高額療養費」や「高額介護サービス費」を申請することが条件となってきます。その上で、500円以上負担が出る場合にのみ申請することが可能です。申請を行うためにも、「高額療養費制度」や「高額介護サービス費制度」の上限額についてもおさらいしておくことにしましょう。
しかし、「高額療養費制度」や「高額介護サービス費制度」を算出する上で、対象とならないものは含めることができません。そのため、「高額療養費制度」や「高額介護サービス費制度」の対象となっていない、差額のベッド代や部屋代、入院時の食事、福祉用具等を含めることはできないのです。
「高額療養費制度」
基本的に保険診療のみに使えるため、入院中の食事や差額ベッド代金は含めることができません。
毎月の医療費が高額になってしまった場合、使える制度です。保険証と高齢受給者証を病院の受付時に提示することで、支払う医療費を限度額までにすることができます。
70歳以上の月々の上限額
課税所得 | 外来(個人ごと) | 外来+入院費(世帯ごと) |
---|---|---|
145万円以上 | 57,600円 | 80,100円 |
145万円未満 | 14,000円 | 57,600円 |
非課税 | 8,000円 |
|
※過去3回以上上限に達した場合、4回目から上限額が下がります。
「高額介護サービス費制度」
1か月の介護費用が上限額を上回る場合支給されるものです。市町村への手続きが必要となり、2回目以降は指定の口座に自動的に振り込まれます。介護施設の居住料や食費が対象です。住宅改善費、福祉用具費は対象となりませんので、注意しましょう。
世帯当たりの上限額、
現役並の所得者がいる世帯 | 44,400円 |
---|---|
世帯の誰かが市町村税を課税されている世帯 | 44,400円 |
誰も市町村税を課税されていない世帯 | 24,600円 |
前年の合計所得と公的年金の合計が80万円以下 | 世帯 24,600円 |
個人 15,000円 | |
生活保護受給者 | 個人 15,000円 |
「高額療養費制度」や「高額介護サービス費制度」を受けた上で、なお負担額が500円以上出る場合に「高額介護合算療養費制度」が適用されます。
「高額介護合算療養費」の申請
「高額介護合算療養費」は毎年申請が必要となります。国民健康保険、後期高齢者医療の場合は市区町村の窓口に、協会けんぽや共済組合等は各健康保険事務所に申請を行いましょう。申請は1年間の申請を行うことのできる基準日となる7月31日から2年間可能です。申請に必要となってくるものは、次の通りです。
- 医療保険被保険者証
- 介護保険被保険者証
- 自己負担額証明書
- 通帳(被保険者名義)
- 印鑑
基本的に、申請が必要な場合、対象となる方に市町村から連絡が届きます。ただし、期間中、住所を移した場合など、連絡通知が届かないこともありますので、その時は各市町村に出向き、自ら申請を行うようにしましょう。
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