介護離職ゼロを目指し岩手県内に新設される予定だった68施設のうち、29施設が整備中止となったと報道がありました。

――この主な原因は市町村の公募に対して運営事業者が集まらなかったことにありますが、なぜ運営事業者は集まらなかったのでしょうか?

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深刻な人材不足

事業者が手を挙げなかった理由の最たるものに、「介護業界の人材不足」があります。

事業者としては、施設を新設したとしても働き手がいないため介護施設の運用をすることができないという結論を出したということになります。

――介護業界の人材不足については数年前から問題となっていましたが、最近になっても国がとった政策といえば「ベテラン介護職員の給与アップ」くらいです。

人手が足りないからまずは人材の流出を防ごうという対応なのでしょうが、これは応急処置的な政策に過ぎず、問題の本質的な改善とはならなさそうです。

確かにベテラン介護職員が流出していくことは、「誠に遺憾であるため可及的速やかに善処するべき」なのですが、まずは新しく介護職に就く人間を増やしていく必要があるのではないでしょうか。

勘違いしたPR

東京オリンピック然り、介護職然り、人材不足に対してお偉い方々が取る方法はいつも、介護職はやりがいがあり、社会的に意義のある仕事だということを地道にPRしていくしかないということです。

確かに介護職はやりがいがある立派な仕事なのだが、人が離れている原因はもっと他にある。「体力的にも精神的にも辛い仕事なのにも関わらず、給与が少ない」というところが本音だろう。

これだけワークライフバランスという言葉が叫ばれ、「私生活」が重視される世の中でいくらやりがいがあるからといって、自らの生活を犠牲にしてまで仕事に時間を捧げる人間は少ない。

そんな気概がある人間は皆「自分で仕事やるわ」というのが本音だろう。筆者自信自分の生活を犠牲にするタイプであるが、現に独立している。

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そうは言ってもお金がない介護業界

そう言っても介護業界には資金がない。「売上が1億でも利益は250万円しかない」と言われているのだ。

この裏には人材会社がいると言われており、一部の会社は高額な紹介料を請求。売上流出に繋がっている。

介護業界は「人材紹介会社を使わないと人材不足で運営できなくなるが、人材紹介会社を使えば資金がなくなる」という打つ手無しの状態だと言われている。

これは介護業界にITに強い人材が少ないから起こっているものだろう。例えば一般的な企業なら、WEB制作ができる人材の一人や二人くらいいるものだ。
大学や専門学校を出てHTMLやCSS、phpといった言語を学ぶ人達がいるためだ。

HTMLとCSSさえできればHPなど作れてしまうのだが、IT業界でもこれらの「コーディング」と呼ばれる作業ができる人間は限られており、介護業界にそのような人材がいるものとは思えない。

――介護福祉士を目指す過程で、PCの操作などのIT的な業務は全く必要のないものだからだ。

負の連鎖は今後も回り続ける

こういったITへの順応が遅い業界は必ずITの食い物にされる。

――よくわからないままコンサルタントの言う通りやったとしても、結果が得られず高額なコンサルフィーがとられるだけだからだ。

さらに、優秀なITの人材はわざわざ介護業界にその身を投じようとは思わない。なぜなら稼ぐことができないからだ。

こうして負の連鎖が回り続けることになる。

解決策は短絡的な思考をやめること

介護業界としても全く解決策がないわけではなく、目の前に解決策が落ちているようなものだ。それは、経営効率の改善だ。

簡単な話ではないが、ITの導入や外注しなくてもできる範囲を増やし、経営効率を改善していくことで売上の流出を防ぐことができるし、職員の賃金を向上させることにも繋がる。

――国としてもいたずらに資金を援助するような短絡的な援助をしても意味がない。

親鳥が雛に食料を与えるのではなく、狩りの方法を教えるように、その手法を介護業界に浸透させなくては堂々めぐりになってしまうのだから――。

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