最近介護関連のニュースには、目を覆いたくなる悲惨な現状があります。
その中でも特に酷いものに高齢者に対する虐待が、過去最多という統計も発表されています。

しかし罪を憎んで人を憎まずとも聞きます。このような虐待が発生する原因は「介護ストレス」とも言われています。この問題の本質はどこにあるのでしょうか。

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厚労省が介護職員による虐待を発表

過去最多の高齢者虐待の相談や通報件数は、2016年度厚労省の発表によると加害者が介護施設などの職員がとなったケースが、なんと452件にも上り前年より44件増加し過去最多となりました。

また、この452件というのは「明らかに虐待である」と認識された件数です。
虐待と疑われる事案は、1640件と1723件と前年より83件と増加しています。

これらの虐待の原因は、

・介護に対する知識や介護技術などが問題:約60%で最多。
・職員のストレスや感情の問題:約20%
・理念の欠如:約10%
・人員不足や人員配置による多忙の問題:約10%

となっています。

今まであまり表だって報告されなかった介護職員による虐待ですが、「虐待への関心と自治体が、通報の必要性を認識してきたことも背景」と指摘ました。推測の域を脱却することはできませんが、これまでも水面下で表沙汰にならなかった虐待もあったのではないかということです。

この統計結果は「最近は老人虐待が増えている」と決めつけることができるものではないということですね。

家族による虐待も増加している!?

介護職員による虐待がニュースで取り上げられていますが、実際に高齢者の世話をしている家族などによる虐待は1万6384件と前年より408件も増加しています。
相談や通報は、2万6688件と前年より1252件多く、こちらも過去最多となっています。

加害者は息子(40%)→夫(20%)→娘(17%)の順となります。
家族による虐待の要因は、

・介護疲れやストレス:40%
・加害者の精神的な異常:20%

などが目立ちます。

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虐待の種類

高齢者虐待といっても、様々な状況があります。

・身体的虐待:暴力的な行為により傷やアザが見られる
・心理的虐待:精神的に苦痛を感じさせる「脅し・侮辱」など、言葉や態度で嫌がらせする
・性的虐待:性的な行為を強要する
・経済的虐待:本人合意がないまま財産や金銭を使用したり、金銭の使用を制限したりする
・介護・世話の放棄・放任:介護サービスの利用を妨害し、高齢者の生活環境などを悪化させる

もし、当サイトの大切な読者たる皆さんもこれに似たような被害に合われていたら、自治体の高齢社会対策部などに相談してみていただきたい。

虐待への対処

虐待は、状況により「緊急事態」「要介入」「見守り・支援」といったレベルを3つに分けて考えます。
適切な対応には、虐待の正確な状況を把握することが大切です。

高齢者への虐待を防止するためには、家族や介護職員の「介護疲れ」や「ストレス」を軽減できるように、周囲の配慮が重要です。そのためにも家族などへの福祉制度の周知も大切です。

そもそも本質はどこにあるのか?

虐待の加害者を許容するわけではありませんが、虐待の原因を見る限り加害者も精神的に追い込まれていることは言うまでもありません。

「恩知らず!」「若いやつはすぐにキレる」と加害者に責任を押し付けたくなるだろうが、そんなことを言っても何も解決しないことも聡明な諸兄諸姉らはご存知だろう。

事実介護職員に対するセクハラ問題なども問題になってきており、一部の介護される側のシニアのマナーが悪いことも原因だと考えられる。

この問題は誰が悪いわけでもなく、社会の機能の中で被害が出てくるのは必然的なのかもしれない。
人は自分に降りかかる災いや不幸を誰かのせいにしたくなるからだ。

介護職員を含む現代の日本の経済を担う人々は、「どれだけ働いても給与が増えない」「生活が苦しい」「薄給で過剰な労働を強いられる」という病んだ社会を担っているのだ。

確かに薄給で過重労働を強いられる環境に身を置いているのは彼ら自信だが、「身を置かざるを得ない状況」であることも確かだ。明るくない未来に絶望し、精神を病んでしまい、狂ってしまった結果虐待に走る…。なんとなく同情に似た感情と共に腑に落とすこともできなくはない。

被害者になるのはやめよう

彼らもまた、「自分たちの生活が苦しいのはこの社会をつくってきた今のシニア世代が悪い」と思っているのかもしれない。シニアもまた「若者の精神が弱いから我々が被害に合う」と心のどこかで思っているかもしれない。

筆者はなんとなく、この世代間闘争が病んだ社会を生み出しているのではないかと感じてならない。
何も滅私奉公という考えを押し付けるわけではないが、全員が被害者になりたがる社会、これを変えることができるのは一人ひとりの意識の変化以外にあるまい。

お互いに被害者のフリをするのはやめて、自らこそが加害者であるという意識を持つことで社会がより良い方向に進んでいくのではないだろうか。

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