
若年性認知症の深刻な現状…病気に向き合うことが大切!
投稿日 2016/01/31
最終更新日 2016/01/30
若年性認知症とは
社会通念上、認知症は高齢者がなると思っている方が多いですが、若年世代でも認知症は起こりえます。若年性認知症とは64歳以下の人の認知症のことです。症状としては「物忘れ」から始まり、段々と仕事面でも、また普段の生活面でも症状が見られるようになります。そんな状況にあっても本人も周りも、年齢的に考えると認知症だろう、という考えはなく、受診が遅れるケースが多く見受けられます。
若年性認知症の現状
全国で約38000人、福井県においては約1000人とされ、人口10万人あたりの平均47.6人を上回ります。職業に従事している患者の中の約1400人のうち、自主退職が約1000人、解雇退職が120人で合計8割の人が仕事を失くしているという現実があります。そのため収入の減少から約7割の家庭では生活の不安が大きくなりました。聞き取り調査では1割強の方が時間短縮や配置換えなどを会社に要請しましたが、叶えられることはなかったそうです。
専門コーディネーターの設置と役割
全国に専門コーディネーターを四月から配置されることになりました。今回の設置で、患者自身の不安の軽減のために受診や、若年性認知症になったときに受けられるサービス、また勤務など全般にわたり相談を受け、機関への橋渡し役を務めることで、患者が安心して生活できるようなサポートを提供することが目的です。

認知症の介護、知識経験があるコーディネーターを、自治体の委託医療機関等に常勤で1人以上を配属し業務することとなります。かかる費用については国の補助でまかない、会社への折衝にあたってもらえるようになります。そのためにもコーディネーターは医者との連携で症状を把握することも求められます。また、家族などにも年金、医療費、介護情報などのサービスについても理解を促し、心の負担を軽減できるようにします。
どうして進行がくい止められないのか
若年性認知症が身近に存在することへの理解が、ご本人、ご家族も少なく、自分が認知症だという認識まで至らないことが最大の原因で受診が遅れるのでしょう。その上、認知症であることを認めたくない気持ちが大きく受診延滞につながることになります。また、病院で受診した場合も、うつ病や更年期障害との違いが明確にわからないまま時間経過により、的確な処置が遅れるケースも見受けられます。職場においては病気であることを隠蔽したい気持ちから言い出しにくく、これもまた受診の遅れにつながるのではないでしょうか。
立ち上がる患者の姿
そんな中、患者自身が病気と向き合い、患者同士で話し合い助け合う「認知症ケアの相談窓口」が仙台市在住の患者自身が開設しました。不安で押しつぶされそうな患者自身が、同じ病気と戦う人に対してお互いが語り合うことで不安を克服していく、そんな姿は若年性認知症の理解を社会に投げかけています。最近では、自分自身を公開して若年性認知症への理解と協力を呼びかける人たちも増加しているようです。
まとめ
若年性認知症に対する理解は、他の病気とは違い、目に見えた病状がないため社会において理解、認知度が低く、また会社においては対応がとても遅れています。他の病気とは違うこの若年性認知症に対しての理解は今後の日本の大きな課題といえるでしょう。会社も有能な人材確保のためにも意識改革が必要なのかもしれません。
参考元:福井新聞
弊社担当者のご紹介
田中 晴基(介護施設スペシャリスト)

入社3年目の田中と申します。前職での介護経験を活かしお客様のご希望にマッチングした施設をご提案します。また介護のあらゆる問題をテーマにしたコラムも執筆し幅広く情報発信しています。
関連記事
- 高齢化社会への対策とは?今、何をすべきなのか
今の日本は「少子高齢化社会」です。出生率が低下している中、高齢者の割合が著しく上昇しているので、2030年には、日本人口の3分の1が高齢者になると言われています。これを2030年問題というのです。当然
詳しくみる - 介護人材不足解消へ……コミュニケーションロボットの活用は介護現場をどう変えるか?
介護現場では人材不足が深刻です。介護施設の6割以上が人手不足を感じています。労働条件の緩和など介護現場では働きやすい環境作りに取り組んでいますが、人材不足の解消にはつながっていません。そこで介護者の代
詳しくみる - 体を温める冬の食事7選 冷えを解消するために
冬が近づくに連れて、温かいものが食べたくなりますよね?体を温めることは細胞を活性化させることに繋がるため、健康にも良いと言われています! (さらに…)
詳しくみる - 高齢者が冬に気をつけたいヒートショックとは?症状と予防方法
皆さんはヒートショックという症状を聞いたことがありますでしょうか。高齢者が自宅で死亡する事故の4分の1はこのヒートショックが原因だと言われています。 (さらに…)
詳しくみる - 歯の本数と睡眠に関係が!?健康のためには歯の健康を
「歯は健康の原点」なんて言われたりしますが、先日東北大学の発表で歯がない高齢者は短時間・長時間睡眠のリスクが高くなることが明らかになりました。 (さらに…)
詳しくみる
あなたにおすすめの介護施設
エリアから探す
全国の介護施設を検索することができます。都道府県を選択してください。