高齢者の寝たきりの原因の2位である認知症。日本には460万人の認知症患者がおり、発症する認知症の原因の内、6割がアルツハイマー病といわれています。

アルツハイマー病の原因は未だ特定されていないものの、食習慣や運動習慣、対人接触、知的行動習慣、睡眠習慣といった日常の生活習慣や環境が大きく関わっていることが分かっています。また遺伝も一つの因子として考えられており、そうした要因が複雑に絡み合うことで、リスクは高くも低くもなると考えられています。

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認知症とアルツハイマー病

アルツハイマー病は、「脳の神経細胞が減少する」「脳全体が萎縮する」「脳に老人班(シミ)が広がる」「脳の神経細胞に神経原線維変化が見つかる」といった変化が現れる、脳の病気です。進行を食い止める方法や回復のための根本的な治療方法は見つかっておらず、加齢に伴いリスクが上昇すると考えられています。

上述したようにアルツハイマー病は認知症の原因疾患の一つです。アルツハイマー型認知症は症状が進行するタイプの認知障害で、記憶障害や見当識障害、学習障害、注意障害、視空間認知障害、問題解決能力の障害などの症状が現れます。症状が進行し重症度が増すと、食事や着替え、コミュニケーションに不都合が現れ、最終的には寝たきりとなり介護が必要となるため、介護者やその家族にとっては大きな負担になります。

アルツハイマー病の予防と治療

アルツハイマー病は一つの要因によって発症する病気ではないため、有効な対策や明確な予防法・治療法は明らかになっていません。

最新の研究では、アミロイドβという脳に生じる老廃物の蓄積が発症の引き金として疑われています。本来、アミロイドβは自然と排出されるのですが、排出力能力が低下することで蓄積し、アルツハイマー病の要因になると考えられています。アミロイドβの排出に最も有効なのは睡眠で、有酸素運動やコミュニケーション、知的活動により、脳の神経細胞を活性化させることも効果的です。この他、近年食事による予防も可能との研究成果が発表されたことで、注目されています。

アルツハイマー病の治療には、現在薬が用いられています。米国食品医薬局では、4種類のアルツハイマー病治療薬を承認しているものの、人によって効果が異なり特定の期間にしか利かないなど、安定した効果が確認できていません。
しかし、こうした先行きの見えないアルツハイマー病問題の現状に、一筋の光明といえるニュースが届けられました。

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新たなアルツハイマー型治療薬への期待

2018年7月、バイオジェンとエーザイは、共同開発するアルツハイマー型認知症治療薬「BAN2401」の臨床試験結果を発表しました。今回の試験で用いられたBAN2401は、アルツハイマー病を惹起させる因子の一つと考えられている、神経毒性を有する物質を選択的に無毒化・除去する抗体です。

行われた201試験は、856人の初期患者を対象とした、「プラセボ対照」「二重盲検」「並行群間比較」「無作為化臨床第Ⅱ相試験」で、プラセボ(偽薬)と比較して認知機能の低下が30%抑えられたという、良好な結果が発表されました。

まだ製造販売承認を受けてはいないものの、画期的なアルツハイマー型認知症の治療薬として、患者や医療従事者からこれまで以上に期待されており、今後の動向に関心が集まります。

アルツハイマー病と治療薬のこれから

認知症は、今や世界的な問題です。

国際アルツハイマー病協会(ADI)によると、2015年に4680万人だった認知症患者は、50年には1億3150万人にまで増加すると予測されています。それに伴い、認知症の治療や介護にかかるコストは増加し、15年の8180億ドルから18年には1兆ドルになるという試算が出ています。

アルツハイマー型認知症の治療薬の開発はこれまで失敗が続いており、現在も100を超える治療候補薬が治験中です。そうした中にあって、バイオジェンとエーザイによる今回の臨床試験結果は、大きな福音といえるものでした。
超高齢化社会といわれる日本にとっても、認知症リスクは誰もが抱える問題です。

介護の問題も含めて、これから先あらゆる面で問題は深刻化していくことでしょう。そうした中にあって、効果が期待できるアルツハイマー型認知症治療薬の開発に日本企業が関わっているというのは、とても喜ばしいニュースです。

これからも、BAN2401の試験結果には大きな期待が寄せられます。

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