メリットとデメリット

介護保険施設や有料老人ホームなど、様々な高齢者向け施設がありますが、近年ますます普及し、注目を集めているのがサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)です。これには、あらゆる事業者がサ高住を運営できるという理由もありますが、比較的初期費用が安く済み、自立した生活ができる人にとっては自由度が高く、住みやすいということも関係しているでしょう。一方で、特定施設でなければ、重度の要介護者は介護保険がかさむといったデメリットもあります。
サ高住のメリットとデメリットを把握する
サ高住のメリットとデメリットを、それぞれの面から把握しておきましょう。ここでは、考えられるメリットとデメリットを項目別に解説します。
費用
メリット |
有料老人ホームなどでは、施設によって高額な入居一時金を支払う必要がありますが、サ高住の場合高額な入居一時金はないため、まとまったお金を用意できなくても入居できるというメリットがあります。 また、食費は自炊することで、負担を減らすこともできます。介護サービス費用に関しても、必要のない費用は支払わなくてもいいという点はメリットです。 |
デメリット |
要介護5などの重度の要介護者の場合は、介護費用の定額分を超えてしまうことがあり、支払う費用が高額になることもあります。その場合は、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームに移転しなければならないことも考えられます。 また、費用の内訳は施設によって様々で、分かりにくい点があるのはデメリットといえるでしょう。 |
生活支援サービス
メリット | 安否確認と生活相談サービスは必ずついているので、安心して生活ができるのはメリットです。 |
デメリット | 必要な場合は自分で契約をすればいい、という自由度は自立している人にとってはメリットですが、日常生活に不安を持っている人は、最低限のサービスだけでは物足りなさを感じることがあるでしょう。 |
介護サービス
メリット | 自立している人にとっては、必要のないサービスに費用を払う必要がなく、自分で事業者を選べるのも都合がいいでしょう。今までお世話になっていたケアマネージャーを引き継ぐこともできるのもメリットです。 |
デメリット | 要介護度が重度の場合、介護保険で受けられるサービスの限度額を超えてしまうことがあります。 |
医療サービス
メリット | 介護サービス同様、健康な人にとっては自分に必要な医療サービスを選択し、契約すればいいので、必要のない費用は発生しません。定期的に健診を受けられる契約などを結ぶこともできます。 |
デメリット | 透析や在宅酸素、人工肛門、ペースメーカーなどの医療は、提供する施設は増えているものの、疾患によっては受け入れていない施設もあります。また、入居条件に「感染症のない人」といった項目がある施設も存在するのが現状です。 |
居住環境
メリット |
浴室やキッチンが各部屋についており、プライバシーも守られる居住環境にあります。共有スペースにはレクリエーション施設やカラオケなどを設置している施設もあり、充実した時間を過ごすことができます。 また、バリアフリー構造になっているので、高齢者にとって住みやすいという点はメリットです。駅の近くや利便性のある地域の場合は、不便を感じずに生活できるでしょう。 |
デメリット | 駅の近くなど、利便性のいい施設は賃料が高い傾向にあり、費用を考えると交通の便があまりよくない場所になることもあります。 |
基本的にサ高住は、自立した生活を送ることができる人向けの施設ですから、健康状態を保つことができている人にとってのメリットが大きくなる傾向にあるといえます。
サ高住の今後の展望
このように、サ高住にはメリット・デメリットの両方があることがお分かりいただけたかと思います。現在、特別養護老人ホームの入居待ちの人数は非常に多く、介護施設に入らなければならない人は増え続けています。そういった人たちの受け皿として期待されているのがサ高住なのです。
国の補助制度の影響から、様々な分野の事業所が参入していることもあり、サ高住は今後さらに増えていくことが予想されます。また、国土交通省では、平成22年から10年間で60万戸の施設を整備するという目標を掲げています。サ高住が増えることは、多くの方にとって喜ばしいことではありますが、それだけ施設が多様化していくことが考えられます。介護や医療についてのサービス内容はそれぞれであり、設備や施設、環境によっては高額になるサ高住も出てくるでしょう。ただ、施設を選ぶ際の選択の幅は広がっていくはずです。
充実した老後を送るためには、自分の希望に合った施設を見つけることが何より大切です。こちらでご紹介したメリット・デメリットも加味して、サ高住の利用を検討してみてください。パンフレットの情報だけで決めるのではなく、実際に見学に行って雰囲気なども確認し、終の棲家となるかもしれない居場所を見つけるようにしましょう。
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